施工管理職は日勤が基本ですが、現場の条件や工期、周辺環境によって夜勤を行うケースもあります。
この記事では、施工管理職が夜勤を担当する具体的な場面や注意点、1日のスケジュールの例について解説します。
併せて、夜勤手当の仕組みや、夜勤なしの会社へ転職するポイントもまとめました。夜勤に向けて準備したい方や、負担を減らしたい方は参考にしてみてください。
施工管理の仕事で夜勤がある現場とは?きついって本当?

施工管理の仕事で夜勤が発生する現場は、主に交通量の多い道路工事や騒音規制が厳しい都市部の工事、大規模なインフラ整備などです。
白昼では交通渋滞や周辺施設への影響が大きく、作業が困難なため夜間に実施することがあります。
また、夏場のコンクリート打設など温度管理が重要な工事も夜間に行われることがあります。
なお、厳しい工期のプロジェクトでは、24時間体制で工程を進める現場も存在し、その際は夜勤の施工管理者が安全・品質・工程の管理を担う役割を果たします。
夜勤の現場は夜間特有の安全対策や近隣対応が必要であり、経験値が求められる現場が多いのが特徴です。
施工管理者が実際に夜勤をする3つのケース
施工管理の仕事は日勤が基本ですが、現場によっては夜勤が必要になることもあります。
夜間作業は特有の対応力や体調管理が求められるため、事前に夜勤の発生パターンを把握しておくことが大切です。
ここでは施工管理者が実際に夜勤を担当する代表的な3つのケースについて具体的に解説します。
1. 夜勤のメンバーが足りていない場合
施工管理者が夜勤を担当する理由で最も多いのが、人員不足による代替対応です。
予期せぬ欠勤や急なトラブル対応で夜勤要員が確保できない場合、現場の安全管理や工程進捗のため施工管理者が夜間対応に入ることがあります。
特に繁忙期には夜間作業が増え、人手不足が慢性化することもあり得ます。 この場合は急な夜勤となる可能性があるため、健康管理や仮眠確保、家族への連絡など事前準備が重要です。
また、必要に応じて、夜間対応後の連勤回避など、勤務調整を上司へ相談しましょう。
2. 日中に工事を進めるのが困難な場合
交通量の多い道路工事や騒音が課題となる都市部の工事では、周辺環境に配慮するため夜間作業を行うことがあります。
この場合、施工管理者は夜間帯に現場巡視、安全管理、作業指示、進捗確認を行う役割を担います。
夜間作業では昼間と異なる作業手順が必要となる場合があるため、準備段階で近隣対応や工程調整を徹底することが大切です。
また、夜間は視認性が低く安全リスクが高いため、照明設置や巡回頻度の増加など、安全対策の強化も欠かせません。
3. 大型再開発や橋梁・鉄道関連工事、災害復旧現場の場合
大型再開発や橋梁・鉄道関連工事、災害復旧現場などでは、短期間で工程を進める必要があり、24時間体制で施工が行われることがあります。
この場合、施工管理者は昼夜交代で現場を担当し、夜間の安全・品質・進捗管理を担います。
工期短縮を目的とした夜間施工は緊張感が高く、工程遅延時には迅速な判断力や、夜間特有のリスクに対応する力が求められます。
また、夜勤前後の休養確保は不可欠であり、疲労による判断ミスを防ぐためにも、無理のないシフト調整が重要です。
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【夜勤】施工管理職の1日スケジュール

施工管理職の夜勤は、21〜23時ごろに出勤し、翌朝まで現場管理を行う流れとなっている企業(現場)が多い傾向にあります。
| 時間帯 | 内容 |
| 21:00〜23:00 | 事務所へ出勤、夜間作業の予定確認、作業指示準備 |
| 0:00頃 | 夜間工事開始、現場巡回、作業状況・安全確認、作業員への指示 |
| 2:00〜4:00 | 工程進捗の確認、現場写真撮影、追加対応の指示 |
| 5:00頃 | 作業終了、事務所で作業報告書の作成 |
| 6:00頃 | 退勤、帰宅 |
出勤後はまず事務所で当日の作業内容や人員配置を再確認し、0時ごろから現場巡回や作業指示、安全確認を行います。
夜間は視界が限られるため、安全面の確認が特に重要です。作業終了後は報告書をまとめ、朝の5〜6時ごろに退勤します。
日中業務と合わせて夜勤が発生することもあるため、体調管理が欠かせません。
夜勤勤務では深夜割増賃金の対象時間(22時〜翌5時)に該当する時間帯の勤務が中心となる点も特徴だといえるでしょう。
出典:労働基準法|東京労働局
施工管理者が夜勤をする際の注意点

施工管理者が夜勤に従事する場面は交通量の多い現場や騒音規制があるエリア、大規模工事などで発生します。
しかし夜勤は日勤と比べて心身への負担が大きく、注意を怠ると体調不良や事故の原因になります。夜勤を安全に乗り切るために知っておきたいポイントを解説するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
生活リズムが崩れて体調を崩す可能性がある
夜勤は昼夜逆転の勤務体系となるため、体内リズムが乱れやすくなり、睡眠不足や消化不良、免疫力低下を招きやすくなります。
施工管理者は工程管理や安全管理で高い集中力が必要ですが、体調不良では重大なミスや事故につながる恐れがあります。
夜勤前後は決まった時間に睡眠を確保し、休憩をこまめに取ることが大切です。
また、昼間にしっかりと光を浴びる、栄養バランスの取れた食事を心がけるなどで、体内時計の乱れを最小限に抑え、夜勤中の体調維持を図りましょう。
見通しが悪いのでいつも以上に注意を配る
夜間の工事現場は照明設備が設置されているものの、日中に比べて視界が制限され、危険箇所の発見が遅れる可能性があります。
また、照明の陰影で作業員の動きや資材の位置が見えにくくなり、接触事故や転倒リスクが高まります。
施工管理者は夜勤中、照明の配置を常に確認し、必要に応じて追加設置を指示することが大切です。
巡回を増やして安全確認を徹底し、作業員に反射材付きの安全ベストを着用させるなど、夜間特有のリスクに対応する体制を整えることが求められます。
夜勤明けは居眠り運転のリスクが高まる
夜勤明けの帰宅時は、長時間の緊張状態から解放され、一気に疲労感が襲ってくることもあるでしょう。その結果、運転中に集中力が低下し、居眠り運転による事故のリスクが高くなります。
施工管理者は、夜勤終了後すぐに運転せず、仮眠を取るなどして疲労を軽減してから帰宅することが重要です。
どうしても運転が避けられない場合は、カフェインの摂取や換気を行い、眠気対策を徹底しましょう。
公共交通機関の利用も検討し、疲労時には無理をしない判断が自身と周囲の安全を守るポイントとなります。
施工管理者がもらえる夜勤手当とは?

施工管理者が夜勤に従事する場合、基本的に2種類の手当が関わります。まず、法律で義務付けられている「深夜割増賃金」です。
労働基準法により22時~翌5時の勤務は通常賃金の25%以上を上乗せして支払う必要があり、時間外や休日労働と重なれば割増率がさらに高くなります。
次に「夜勤手当」と呼ばれる企業独自の手当です。これは法定義務ではなく、企業の就業規則によって金額や支給方法(1勤務ごと、時給加算、固定額など)が異なります。
夜勤特有の負担軽減を目的に設けられるケースが多いため、実際に夜勤に入る際は、自社の規程を確認し、待遇条件を把握しておくことが重要です。
出典:厚生労働省『建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
出典:法定労働時間|厚生労働省 徳島労働局
夜勤手当なしの企業はある?
夜勤手当は法律で義務付けられているものではなく、企業が独自に設ける制度です。そのため支給の有無や金額は会社ごとに異なり、中には夜勤手当を設けていない企業もあります。
ただし、労働基準法では22時~翌5時の勤務に対して「深夜割増賃金(通常賃金の25%以上)」を必ず支払うことが定められており、これは夜勤手当とは別枠で適用されます。
つまり夜勤手当がなくても、深夜時間帯に働いた分の割増賃金は必ず受け取れます。
夜勤の負担に見合った待遇を得るためには、求人票や就業規則で夜勤手当の有無や支給条件を事前に確認することが重要です。
出典:労働基準に関する法制度 |厚生労働省
出典:厚生労働省『建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
出典:法定労働時間|厚生労働省 徳島労働局
施工管理職の夜勤手当の相場

施工管理者が夜勤をする際の手当の相場は、企業の規模・地域・現場の種類によって大きく変わりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- ✓ 深夜割増賃金(22時~翌5時)は法律で義務付けられ、通常賃金の25%以上が最低ライン
- ✓ 夜勤手当(企業独自)は、1回あたり数千円〜1万円前後が相場
- ✓ 時給換算では深夜割増に加え、さらに10〜30%上乗せされるケースもあり
施工管理者として夜勤を含む働き方を選ぶなら、上記のような手当が期待できるかをチェックしましょう。
「夜勤手当と深夜割増を別にしているか」「一回あたりの夜勤手当はいくらか」を具体的に確認してみてください。
施工管理者が夜勤なしの会社に転職するコツ

施工管理者として転職を検討する際には、企業研究を徹底的に行い、勤務体系もチェックしましょう。
求人票に「夜勤なし」とあっても、工期や現場状況によって一時的に夜間対応が発生する場合があるため、実情を把握しておく必要があります。
転職エージェントを活用すれば、夜勤の有無や残業時間、働き方改革への取り組み状況など、表に出にくい内部情報を得やすくなります。
勤務条件だけでなく、自分のキャリアプランや希望条件と照らし合わせて選択することで、納得感のある転職につながりやすくなるでしょう。
夜勤ありの現場で施工管理の経験と収入をしっかり得たい方へ

夜勤が発生する施工管理の現場は、昼間に比べて作業員や関係者が限られるため、よりスピーディーな進行や大規模工事の工程短縮に直結します。
夜間特有の緊張感のなかで安全・品質を守る経験は管理スキルの向上にもつながるため、市場価値を高める大きな武器となるでしょう。
さらに夜勤では、深夜割増や夜勤手当(※企業による)が加わるため、収入アップを狙いたい人にとって大きなメリットがあります。
「短期間で効率的に稼ぎたい」「キャリアアップを目指したい」という方は、夜勤ありの職場も選択肢に入れるとよいでしょう。
まとめ
施工管理職の夜勤は交通量の多い道路工事、騒音規制がある都市部、大規模インフラ整備などで発生し、深夜割増賃金や夜勤手当の支給対象にもなります。
しかし、夜勤は生活リズムが乱れ、体調管理や安全管理の負担が大きくなるため、事前準備や適切な対応が重要です。
夜勤での勤務が負担に感じる場合は、夜勤なしの企業への転職も選択肢の一つです。
建設業界に特化した転職支援サービスを提供する「ベスキャリ建設」を活用すれば、夜勤の有無や残業時間、社風まで把握したうえで、自分に合った企業や働き方を選択できます。
無理なく建設業界で活躍し続けるために、ぜひ一度プロのキャリアアドバイザーに相談してみてくださいね。