「CADオペレーターになるために必要な資格はどれ?」「資格の取得方法や難易度が気になる」といった疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。
建設業界では、CADスキルを証明できる複数の資格があり、それぞれ難易度や取得によるメリットが異なります。どの資格取得を目指すか決めるためにも、違いを正しく把握しておくことが重要です。
本記事では、2025年版の最新情報をもとに、CAD関連資格の一覧や難易度、取得するメリットについて詳しく解説します。CADオペレーターとしてキャリアを広げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
CADの資格は意味がない?
結論から言うと、CADオペレーターとして働くために特定の資格が必須というわけではありません。
ただし、資格を持っていれば「CADスキルが一定レベルに達している」ことを証明でき、就職や転職活動で有利に働く場合があります。
また、資格取得を目指す過程で、操作スキルや図面作成の基礎知識などを習得できるため、業務への理解も深まるでしょう。
さらに、資格取得を目指すことで学習意欲や仕事に対する姿勢が伝わり、転職活動や昇給などさまざまな場面で良い影響を与える可能性があります。
CADの資格一覧
ここでは、建設業界で役立つCAD資格を紹介します。CADオペレーターとして活躍するために、ぜひ参考にしてください。
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、実践的なCADスキルを証明する民間資格で、民間団体が主催しています。受験しやすい基礎から高度な1級まで幅広く用意されているのが特徴です。
合格率や受験方式は級や分野によって異なり、2次元CAD1級は、トレース・建築・機械の3つの分野に分かれています。初学者から実務者まで多くの人が受験する資格試験です。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | CAD利用技術者試験 |
主催団体・認定機関 | 一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP) |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | 【2次元CAD】 基礎・2級:CBT(コンピュータ試験)、IBT(インターネット経由の自宅受験) 1級:会場試験(筆記+実技) 【3次元CAD】 2級:CBT(コンピュータ試験) 準1級・1級:会場試験(筆記+実技) |
受験料 |
【2次元CAD】 ※過去の1級合格者:12,100円(税込) ※過去の1級合格者:11,000円(税込) ※準1級/1級保持者:12,100円(税込) ※準1級/1級保持者:11,000円(税込) |
受験資格 | 【2次元CAD】 基礎:特になし 2級:特になし 1級:2級または1級有資格者 【3次元CAD】 2級:特になし 準1級:2級有資格者 1級:2級または準1級有資格者 |
合格率 | 【2次元CAD】 基礎:約80% 2級:約56% 1級:約60%(トレース)、約48%(建築)、約43%(機械) 【3次元CAD】 2級:約73% 準1級:約70% 1級:約29% ※いずれも2024年度直近の合格率 |
試験の実施頻度 | 【2次元CAD】 基礎・2級:随時 1級:年2回 【3次元CAD】 2級:随時 準1級・1級:年2回 |
出典:CAD利用技術者試験|一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)
建築CAD検定試験
建築CAD検定試験は、建築業界で求められる実践的なCADスキルを証明するための代表的な民間資格です。1993年から実施されており、試験会場は全国各地に設置されています。
試験内容はすべて実技で、課題図面の作図やトレースを制限時間内に正確に仕上げる能力が求められます。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | 建築CAD検定試験 |
主催団体・認定機関 | 一般社団法人 全国建築CAD連盟(AACL) |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | 実技試験のみ(筆記試験なし) パソコン上でCADソフトを使用し、課題図面の作図・トレースを行う 【准1級】試験時間:4時間10分 【2級】試験時間:5時間 【準2級】試験時間:3時間 【3級】試験時間:2時間 【4級】試験時間:2時間 |
受験料 | 【准1級】15,500円(税込) 【2級】12,500円(税込) 【準2級】12,000円(税込) 【3級】11,500円(税込) 【4級】3,150円(税込)※4級は高校などの団体受験のみ対象 |
受験資格 | 制限なし(4級は団体受験のみ) |
合格率 | 【准1級】約19% 【2級】約60% 【準2級】約59% 【3級】約72% 【4級】約90% ※いずれも2024年度直近の合格率 |
試験の実施頻度 | 一般受験:年2回(4月・10月) 団体受験:年4回(4月・7月・10月・1月) ※准1級は10月のみ |
出典:CAD利用技術者試験|一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)
オートデスク認定資格プログラム
オートデスク認定資格プログラムは、世界共通の資格で、AutoCADやRevit Architecture、Autodesk Fusionなどのソフトごとに取得可能です。
基本的な操作スキルを証明する初級者向け資格として知られており、国際的なスキル証明として活用できます。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | オートデスク認定ユーザー |
主催団体・認定機関 | オートデスク株式会社(Autodesk, Inc.) |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | 【AutoCADユーザー】選択式+実技操作(試験時間:50分) 【Revit Architectureユーザー】選択式+実技操作(試験時間:50分) 【Autodesk Fusionユーザー】選択式(試験時間:50分) |
受験料 | 7,700円〜8,500円(税別) ※実施団体によって異なる |
受験資格 | 制限なし |
合格率 | 非公開 |
試験の実施頻度 | 実施団体によって異なる |
出典:オートデスク認定資格プログラム|オートデスク株式会社(Autodesk, Inc.)
CAD実務キャリア認定制度
CAD実務キャリア認定制度は、CAD技術者の実務スキルを客観的に証明できる民間資格です。
特に、3次元CAD分野での実践力をアピールしたい方におすすめです。在宅で受験できるため、働きながら資格取得を目指す方にも適しています。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | CAD実務キャリア認定制度 |
主催団体・認定機関 | 一般社団法人コステックエデュケーション |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | 【3次元CADトレーサー認定試験】事前課題+実技試験 【3次元CADアドミニストレーター認定試験】事前課題+実技試験 【CADアドミニストレーター認定試験】実技試験のみ |
受験料 | 【3次元CADトレーサー認定試験】13,600円、学生 9,500円 【3次元CADアドミニストレーター認定試験】一般 10,500円、学生 6,300円 【CADアドミニストレーター認定試験】7,300円、学生 5,300円 |
受験資格 | 制限なし |
合格率 | 非公開 |
試験の実施頻度 | 年2回 |
出典:実務キャリア認定制度|一般社団法人コステックエデュケーション
Vectorworksベーシック検定
Vectorworksベーシック検定は、建築やインテリアなど幅広い分野で広く使用されているCADソフト「Vectorworks」の基本操作スキルを証明する民間資格です。
2025年4月より開始された認定試験で、以前は「Vectorworks操作技能認定試験」として実施されていました。インターネット環境があれば自宅などどこからでも受験可能で、合格するとPDFの認定証をダウンロードできます。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | Vectorworksベーシック検定 |
主催団体・認定機関 | Vectorworks, Inc. ベクターワークスジャパン株式会社 |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | IBT/CBT形式(50分、50問、選択・作図操作含む) |
受験料 | 一般:3,300円(税込) OASIS加盟校:無料(1人1回/年) |
受験資格 | 制限なし |
合格率 | 非公開 |
試験の実施頻度 | 随時 |
出典:Vectorworks検定|ベクターワークスジャパン株式会社
CADデザインマスター
CADデザインマスター資格認定試験は、AutoCADやJw_cadなどのCADソフトを用いた建築・機械・土木などの図面作成スキルを証明する資格です。
日本デザインプランナー協会が、合格基準(全問題の合計点数70%以上)を満たした受験者に対して認定証を発行しています。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | CADデザインマスター資格認定試験 |
主催団体・認定機関 | 日本デザインプランナー協会 |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | 筆記試験(詳細は非公開) |
受験料 | 10,000円(税込) |
受験資格 | 制限なし |
合格率 | 非公開 |
試験の実施頻度 | 年6回(偶数月) |
出典:CADデザインマスター資格認定試験|日本デザインプランナー協会
3次元設計能力検定
3次元設計能力検定協会 3次元設計能力検定は、3次元CADにおいて機械設計の基礎・応用力を証明できる民間資格です。
分野によって3つのコース(3次元CADコース・図面作成コース・プロ設計者コース)に分かれています。 優秀者には表彰制度があり、希望者の氏名はホームページに掲載されます。
転職や就職活動において、自己PRの強力なツールとして活用できる資格の1つです。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | 3次元設計能力検定 |
主催団体・認定機関 | 特定非営利活動法人 3次元設計能力検定協会 |
資格の区分 | 民間資格 |
試験形式 | 【3次元CADコース】3次元CAD実技 【図面作成コース】筆記+実技 【プロ設計者コース】筆記+実技 |
受験料 | 【3次元CADコース】8,000円(税込) 【図面作成コース】10,000円(税込) 【プロ設計者コース】15,000円(税込) |
受験資格 | 制限なし |
合格率 | 非公開 |
試験の実施頻度 | 年2回 |
【国家資格】機械・プラント製図技能士
機械・プラント製図技能士は、機械製図やプラント配管の製図技能を証明できる国家資格です。
製図能力だけでなく、機械や設計に関する知識も求められるため、建設業の分野では高く評価されています。
転職やキャリアアップにおいて有利に働くことが期待できるため、取得の価値がある資格といえるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
資格名 | 技能検定 |
主催団体・認定機関 | 中央職業能力開発協会(JAVADA) |
資格の区分 | 国家資格 |
試験形式 | 実技試験:手書き作業およびCAD作業、課題図面から部品図作成など(試験時間3時間) 学科試験:真偽法(〇×式)および四肢択一法(4択) |
受験料 | 実技試験:18,200円(都道府県により異なる) 学科試験:3,100円 |
受験資格 | 特急:1級合格後実務経験5年以上 1級:実務経験7年以上 2級:実務経験2年以上 3級:制限なし |
合格率 | 非公開 |
試験の実施頻度 | 年2回 |
出典:機械・プラント製図(機械製図手書き作業):中央職業能力開発協会(JAVADA)
出典:令和7年度技能検定受験案内|厚生労働省
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CADの資格を取得するメリット
ここでは、CAD資格を取得するメリットを具体的に3つに分けて解説します。
CADオペレーターとして働きたい方にとって、いずれも大きな影響を与えるメリットです。前向きに資格取得を検討するためにも確認していきましょう。
キャリアアップ・スキルアップにつながる
CADの資格を取得するメリットの1つは、キャリアアップやスキルアップにつながることです。
資格取得に向けた勉強を通して、CADソフトの操作技術だけでなく、図面作成に関する基礎知識や専門用語も習得できるためです。
建築や建設業界の未経験者でも、CAD資格があれば一定のスキルを証明でき、企業からの評価が高まります。
また、「CAD操作ができる人材」として認識されやすく、転職活動でのアピールポイントとなります。実際、CAD資格は建設業界で広く評価されており、求人票に「資格保有者優遇」と記載されているケースも少なくありません。
さらに、資格を取得したことで得られる自信も魅力の1つです。学習を通してスキルが向上すれば、業務に前向きに取り組む姿勢が身につきます。CADオペレーターとしてキャリアを築きたい方は、資格取得を積極的に検討する価値があるでしょう。
昇給につながる
CAD資格の取得メリットとして、昇給につながる点が挙げられます。これは、資格を持つことで専門知識やスキルが一定水準に達していると客観的に証明できるためです。
上司からも信頼され、責任ある業務を任される機会が増えるでしょう。
また、企業によっては資格手当が支給されるほか、プロジェクトリーダーや主任などのポジションに就くことで、役職手当がつく可能性もあります。
未経験からキャリアアップを目指す方にとって、CAD資格は自分の成長を示す証であり昇給への近道です。積極的に資格取得にチャレンジし、着実にキャリアを築きましょう。
就職・転職に有利に働く
CAD資格を取得することで、就職や転職活動が有利になる点もメリットのひとつです。
たとえ未経験だとしても、CAD資格があれば「意欲があり、基礎的なスキルを持っている人材」として評価されやすくなります。
また、転職市場においても、有資格者であれば他の志願者との差別化が図れます。CADの資格を持っていることで「即戦力として活躍できる可能性がある」と、採用担当者の目に留まりやすくなるでしょう。
未経験者であっても、資格取得を目指すことで就職・転職活動を有利に進められる可能性が高まります。
初心者がCADの資格を取得するための勉強方法
ここでは、初心者がCAD資格を取得するための勉強方法を2つ紹介します。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選びましょう。
独学で学ぶ
独学の大きなメリットは、費用を抑えつつ、自分のペースで学べる点です。参考書やYouTube動画、ブログ記事などを活用すれば、基礎知識から実践スキルまで幅広く学習できます。
一方で、独学ではわからない点をすぐに質問できないため、理解が浅いまま学習が進んでしまうことがあります。
また、自己管理が難しく、モチベーションを保てずに挫折するケースも見られます。
独学を成功させるには、学習計画を立ててコツコツ続けることが大切です。目標を明確にし、無理のないペースで取り組みましょう。
職業訓練校やスクールで学ぶ
職業訓練校や民間スクールでは、講師の指導のもとでCADの基礎から実践スキルまで学べるため、未経験者でも安心です。
訓練校は、自治体運営のため受講料が無料の場合もあり、就職支援も充実しています。 一方、民間スクールでは短期集中講座やオンライン学習が可能で、実務経験者の講師から指導を受けられる点も魅力です。
費用や通学の負担はあるものの、効率よくスキルを習得したい方に適しています。
出典:建築CAD科 | 都立職業能力開発センター | TOKYOはたらくネット
CADの資格に関してよくある質問
ここでは、CADの資格に関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答します。
気になる項目があればぜひチェックして、疑問や不安を解消しましょう。
CADの資格は国家資格ですか?
CADの資格には、国家資格と民間資格があります。国家資格として「機械・プラント製図技能士」があり、合格すると都道府県知事名の合格証書と技能士章が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
国家資格は信頼性が高く、特に就職やキャリアアップに有利です。 一方で、建設系のCAD資格の多くは民間資格が中心です。
民間資格でも、「CAD利用技術者試験」や「建築CAD検定試験」など有資格者の多い資格であれば、実務に役立つスキルは十分に証明できます。国家資格と同様に、就職や転職の際に強みとして活かせるでしょう。
建築CAD検定は難しいですか?
建築CAD検定は、級によって難易度が異なります。特に難しいとされているのは、実務経験や高度な図面作成スキルが求められる「准1級」です。
合格率は例年20%を下回るため、易しくはありません。 しかし、2級や3級、4級については比較的取り組みやすく、2級は60%程度、3級と4級は80%程度の合格率があるため、しっかりと対策すれば未経験者でも十分に合格を狙えます。
2024年度の合格率は、下表のとおりです。ぜひ参考にしてください。
級 | 合格率 |
---|---|
准1級 | 19.2% |
2級 | 60.1% |
准2級 | 58.9% |
3級 | 72.2% |
4級 | 89.9% |
出典:統計資料|一般社団法人 全国建築CAD連盟(AACL)
まとめ:CADの資格を取得してキャリアアップを目指そう
未経験者でも、CADの資格を取得することで、建設業界でのキャリアアップを目指せます。資格は操作スキルや専門知識を証明するだけでなく、就職や転職の際に強力なアピールポイントとなるためです。
また、資格取得の過程で得た知識や経験は、自信を持って業務に取り組むための土台となります。独学や職業訓練校、オンライン学習など、自分に合った方法で資格取得を目指してみてください。
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