2級土木施工管理技士とは？試験日や受検資格、合格率、難易度について解説

土木業界で働く中で、「キャリアアップのために資格を取りたい」「2級土木施工管理技士を取得するには何が必要？」などと考えたことがある方は多いのではないでしょうか。

2級土木施工管理技士は、土木工事の現場で責任者として施工管理を行うために必要な資格です。2級土木施工管理技士を取得することで主任技術者の要件を満たせるため、より責任のある仕事に従事できます。

一方で、「試験の難易度は？」「実務経験はどの程度必要？」など、具体的な要件が分かりにくいと感じる方も少なくありません。 そこで本記事では、2級土木施工管理技士の試験日や受検資格、合格率、難易度について詳しく解説します。2級土木施工管理技士の取得を目指している方や興味のある方は、ぜひご覧ください。

2級土木施工管理技士とは？

2級土木施工管理技士とは、土木施工管理の技術があることを証明できる国家資格です。土木施工管理技士の資格には、1級と2級があります。

ここでは、1級と2級の違いや、2級土木施工管理技士として従事できる主な仕事内容について詳しく解説します。

1級土木施工管理技士と2級土木施工管理技士の違い

1級土木施工管理技士と2級土木施工管理技士の違いは、管理できる工事の規模と範囲にあります。以下の表に主な違いをまとめました。

出典：建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 （令和７.２版）

1級土木施工管理技士は監理技術者になれることや、大規模な工事の管理ができる点が、2級土木施工管理技士との大きな違いです。2級土木施工管理技士は中規模な工事にまで対応できます。

土木施工管理技士として認められるとできる仕事内容

土木施工管理技士として認められると可能な仕事内容には、工程・原価・品質・安全の4つの管理があります。 2級土木施工管理技術検定は、土木・鋼構造物塗装・薬液注入の3種類に分かれており、どれか1つを選択して受検します。

合格した1つの分野のみで専任技術者または主任技術者を務められます。これに対して1級は合格した分野に関係なく、すべての分野で務めることが可能です。

【 2級土木施工管理技士：技術者の許可種目】

2級土木施工管理技士の資格を取得するメリット

ここでは、2級土木施工管理技士の資格を取得するメリットを3つに分けて解説します。

主任技術者として働ける

建設会社などは、営業所ごとに専任技術者を配置する必要があります。請負代金が5,000万円以上（建築一式の場合は8,000万円以上）の工事を請け負う「特定建設業」の企業は、専任技術者として1級土木施工管理技士を配置しなければいけません。

この規模以下の工事のみを扱う「一般建設業」の企業の場合は、2級土木施工管理技士でも専任技術者として働くことができます。 またすべての工事現場には、現場の管理監督などを行う主任技術者を配置しなければいけません。

こちらも、請負代金が4,500万円以上（建築一式の場合は9,000万円以上）の工事現場には、主任技術者ではなく「監理技術者」を配置することとなっており、監理技術者になれるのは1級土木施工管理技士だけと定められています。 つまり、2級土木施工管理技士は、上記の規模以下の工事現場でのみ主任技術者として働くことができる資格です。

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1級土木施工管理技士へのステップアップになる

2級土木施工管理技士を取得することで、1級土木施工管理技士へのステップアップになります。 1級土木施工管理技士の試験は、2級の試験内容を発展させたものです。1級と2級は出題形式に大きな違いはなく、出題範囲は共通しています。

2級で学んだ知識があることを前提として、より専門的な内容が出題されるのが1級の試験です。 1級土木施工管理技士は専門的な内容が出題されるため、いきなり1級の合格を目指すとハードルが高くなります。

最初は2級土木施工管理技士の合格を目指し、その後でステップアップとして1級を目指すとよいでしょう。 2級土木施工管理技士の資格を取得すれば、1級合格のための土台を築けます。

転職に有利になる・年収アップが期待できる

専任技術者や主任技術者の配置は法律で定められているため、土木施工管理技士の有資格者は就職に有利になるでしょう。

2級よりも1級のほうが有利ではありますが、若手が2級資格にチャレンジしやすいよう制度改正された背景があります。

人手不足の状況も踏まえると、2級であっても「仕事へのモチベーションが高く、将来性のある求職者」として企業に評価される可能性は十分にあります。

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【2025年度】2級土木施工管理技士試験の試験日・受検資格

ここでは、2級土木施工管理技士試験における検定の受検資格やスケジュールについて解説します。受検に必要な項目を理解し、取得に向けてのスケジュールを立てるために、確認していきましょう。

受検資格・実務経験

2級土木施工管理技術検定は他の施工管理技術検定と同様、第一次検定、第二次検定と2段階に分かれています。2024年度から検定制度が改正され、受検資格が緩和されました。 第一次検定（学科試験）は、試験実施年度に満17歳以上となる方であれば誰でも受検することができます。

第二次検定の受検資格には実務経験が必要です。旧制度では学歴によって必要実務経験年数が細かく異なりましたが、新制度では2級土木施工管理技士検定第一次検定合格後1年以上の実務経験年数というシンプルな形に変更されました。

ただし制度移行期のため、いつ第一次検定に合格したかによって必要とされる実務経験年数が異なります。 なお、2024～2028年度までは移行措置として、新旧どちらの受検資格で受検するか選ぶことができます。

詳しくは、一般財団法人 全国建設研修センター　2級土木施工管理技術検定をご確認ください。

出典：令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります｜一般財団法人　全国建設研修センター

申込方法と申込期間（インターネット・書類郵送）

2級土木施工管理技術検定の申込方法はインターネット申込と書面申込があります。実務経験が不要の第一次検定のみを受検する方はインターネット申込だけとなります。 第二次検定の受検には実務経験のチェックが必要なため、第二次検定を新規に受検する方は書面申込しか選べません。

再受検者はインターネット申込、書面申込、どちらでも選べます。申込用紙は、インターネットなどからの郵送請求と窓口販売があります。販売期間も決まっているため、必ず公式サイトで確認しましょう。

出典：２級土木施工管理技術検定｜一般財団法人　全国建設研修センター

出典：２級土木施工管理技術検定｜一般財団法人 全国建設研修センター

試験日と合格発表日

2級土木施工管理技士試験の試験日と合格発表日は、以下の通りです。スケジュールと合うか、確認しておきましょう。

検定会場

2025年度（令和7年度）2級土木施工管理技士試験の試験会場は以下の通りです。受検可能な会場が近くにあるか、確認してみましょう。

出典：２級土木施工管理技術検定｜一般財団法人 全国建設研修センター

受検手数料（受検料）

2級土木施工管理技士試験の受検手数料（受検料）について以下の表にまとめました。 受検を考えている方は、受検手数料（受検料）がどのくらいかかるのかぜひチェックしておきましょう。

出典：２級土木施工管理技術検定｜一般財団法人 全国建設研修センター

土木施工管理技術検定の検定内容

2級土木施工管理技士資格の検定の試験内容は下記の通りです。試験に合格するには、第一次検定、第二次検定で各60％を得点する必要があります。

出典：２級土木施工管理技術検定｜一般財団法人 全国建設研修センター

土木施工管理技術検定の合格率・難易度は？

令和6年度の2級土木施工管理技術検定の合格率は、第一次検定が44.6％、第二次検定が35.3％でした。

2級土木施工管理技術検定の第一次検定の種別ごとの合格率は、土木が44.6％、鋼構造物塗装53.2％、薬液注入46.8％です。第二次検定の種別ごとに合格率をみると、土木35.3％、鋼構造物塗装43.3％、薬液注入36.3％でした。

2級土木施工管理技術検定の二次検定は、第一次検定に合格しなければ受検できません。

第二次検定の合格率はいずれの種別も45％を下回っており、合格率は低いといえます。 1級土木施工管理技術検定は、比較的難易度が高い試験といえるでしょう。

出典：令和6年度2級土木施工管理技術検定 「第一次検定・第二次検定（受検者の内、第一次検定）」、「第一次検定（後期）」の合格者の発表について｜一般財団法人 全国建設研修センター

出典：令和6年度2級土木施工管理技術検定「第二次検定」の合格者の発表について｜一般財団法人全国建設研修センター

土木施工管理技士試験に合格するポイント

2級の土木施工管理技術検定に合格するには、通常の資格試験と同様に過去問を解いて自分の得意・不得意の分野を確認して対策をするのが重要です。 第一次検定についてはマークシート方式、第二次は作文もありますが、過去問に回答例なども載っているため、それを参考に対策をすれば効率的な勉強が可能です。

また、第二次の経験記述は、実際の検定日に指定されたテーマについて記述をする必要があるため、ランダムで出た場合にも対応できるよう予行練習をしておきましょう。

書き方は5W1Hを明確にし、事実を具体的かつ簡潔に書くことがポイントです。 施工基準値や法令に関する数値などの数値は、暗記が必要なため、繰り返し復習して記憶を定着させましょう。

2級土木施工管理技士に独学で合格する方法

2級土木施工管理技士に独学で合格するには、効果的な学習計画を立てて、適切な教材を選んで勉強することが重要です。ここでは、おすすめの勉強法や教材、学習計画の立て方について詳しく紹介します。

おすすめの勉強法

2級土木施工管理技士に合格するためのおすすめの勉強法は、第一次検定と第二次検定の出題内容を把握することです。過去問を繰り返し解いて、出題傾向を理解しましょう。

さらに、得意分野と苦手分野を把握した上で苦手分野を重点的に勉強することが大切です。 第一次検定はマークシート形式のため、正確な知識を得ることが重要になります。

知識の曖昧な部分があれば、参考書をチェックして理解を深めましょう。 第二次検定は記述式の出題があるため、記述形式に慣れるための練習が必要です。問題集の解答例を参考にしつつ、自分で考えて記述の練習をします。

経験記述の出題があるため、自分の過去の経験を整理した上で具体的な数値を交え、簡潔に記述する練習も行いましょう。

教材と学習計画（勉強時間の目安）

2級土木施工管理技士のおすすめの教材は以下の2つです。

「詳解 2級土木施工管理技術検定過去6回問題集」は過去問と解説が掲載されているため、最初に取りかかる教材としておすすめです。

「2級土木施工 第1次&第2次検定 徹底図解テキスト」は、過去問を解く上で補助教材として使うことを推奨します。あくまでも苦手分野を克服することを目的として利用すべき教材のため、必要な部分に絞って活用しましょう。

一般的に、2級土木施工管理技士の合格に必要な勉強時間は50時間〜300時間とされていますが、予備知識や実務経験の有無によって異なります。勉強時間の目安は、未経験であれば200〜300時間、現場初心者の方は150〜200時間、土木や建築の勉強をしてきた方は50〜100時間程度と考えると良いかもしれません。

出典：2級土木施工管理技士出題傾向｜KGKC 建設技術教育センター

2級土木施工管理技士に関するよくある質問

ここでは、2級土木施工管理技士に関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答します。

2級土木施工管理技士を受検する上で、知っておきたいポイントを網羅的にまとめているのでぜひ参考にしてみてください。

2級土木施工管理技士の平均年収は？

2級土木施工管理技士の平均年収について、公的データは公開されていませんが、求人ボックスが提供する求人統計データによると、土木施工管理の平均年収は約497万円となっています。 ただし、上記のデータには1級取得者の年収も含まれています。また、年収は資格の種類だけではなく、地域や企業、実務経験の長さなども影響します。

出典：土木施工管理の仕事の年収・時給・給料｜求人ボックス　給料ナビ

2級土木施工管理技士試験を受験するのに必要な実務経験は何年？

2級土木施工管理技士試験の第一次検定は、満17歳以上であれば誰でも受検できますが、第二次検定を受検するには、第一次検定に合格したうえで、3年以上の実務経験が必要です。また、第二次検定を受検する際に実務経験証明書の提出が求められます。 受検資格で定められた実務経験とは、建設工事の施工計画の作成や工程管理、品質管理などの職務経験のことを指します。補助者としての経験も、実務経験に含められます。

2級土木施工管理技術検定は難しいですか？

2級土木施工管理技術検定は、やや難易度の高い試験です。令和6年の2級土木施工管理技術検定の合格率は一次試験で44.6％程度、二次試験で35.3％です。

未経験者が独学で合格を目指す場合は、200時間〜300時間程度の勉強時間が必要になるでしょう。 ただし、高校や大学で土木に関連する分野を専攻していた方や、現場で実務経験が豊富にある方などは、試験で活用できる知識もあるかもしれません。既に予備知識がある場合は、より短い学習時間で合格を目指せるでしょう。

出典：令和6年度2級土木施工管理技術検定 「第一次検定・第二次検定（受検者の内、第一次検定）」、「第一次検定（後期）」の合格者の発表について｜一般財団法人 全国建設研修センター

出典：令和6年度2級土木施工管理技術検定「第二次検定」の合格者の発表について｜一般財団法人 全国建設研修センター

土木施工管理技士の2級は誰でも取れる資格ですか？

土木施工管理技士の2級は、誰でも取得できる資格ではありません。2級土木施工管理技士試験の第一次検定は、満17歳以上であれば誰でも受検できますが、第二次検定を受けるには、第一次検定の合格に加えて、3年の実務経験が必要です。

この実務経験とは、実際に現場で施工管理に関連する業務に従事した経験のことを指します。また、試験では現場での経験を踏まえた記述回答が求められる出題があります。

土木施工管理技士の合否結果は、インターネットでも確認できますか？

土木施工管理技士試験の合否結果は、一般社団法人 全国建設研修センターのホームページ上で確認できます。また、合格発表日付で合格者と不合格者に対して文書で合否の通知が行われます。

自宅に結果通知書が届かない場合は、一般社団法人 全国建設研修センターへ問い合わせをすると、受検者本人に限り、合否の結果を教えてもらうことが可能です。試験問題や回答、個人得点などについての問い合わせは一切受け付けていません。

出典：令和7年度 2級土木施工管理技術検定の実施について｜一般社団法人 全国建設研修センター

2級土木施工管理技士の第二次検定（実地試験）の作文例は？

2級土木施工管理技士の第二次検定（実地試験）の作文例は、過去問などの問題集を参照しましょう。2級土木施工管理技士の第二次検定では、実地試験として施工経験記述が出題されます。

問題集には作文例が掲載されているため、記述の練習をする際の参考にしましょう。 注意点として、問題集の記述例をそのまま使用するのは避けましょう。自身の経験に基づいた解答が求められるため、過去の現場での経験を整理した上で簡潔で分かりやすく文章にまとめることが重要です。

2級土木施工管理技士の学科のみ合格した場合の有効期限は？

2級土木施工管理技士の学科のみ合格した場合の有効期限はありません。2級土木施工管理技士の第一次検定（学科試験）に合格すると「2級土木施工管理技士補」の国家資格を取得できます。

「2級土木施工管理技士補」には有効期限がないため、第一次検定に合格していれば、どのタイミングで第二次検定を受けても問題ありません。ただし、第二次検定を受けるためには所定の実務経験を積む必要があります。

2級土木施工管理技士の第二次検定の過去問はどこでダウンロードできる？

2級土木施工管理技士の第二次検定の過去の試験問題は、一般社団法人 全国建設研修センターの公式サイトでダウンロードできます。

ただし、第二次検定の解答例は公開されていません。 第二次検定の解答例を知りたい場合は、市販の問題集や参考書をチェックしましょう。

なお、2級土木施工管理技士のコースを設けている資格学校や通信講座では、解答例が公開されている場合もあります。

出典：試験問題/正答肢｜一般社団法人 全国建設研修センター

2級土木施工管理技士の資格を取得して年収アップを目指そう！

2級土木施工管理技士の資格を取得すれば、現場監督として活躍できるようになります。資格を取得すれば年収が上がり、将来的には1級取得を目指すことが可能です。

建設業界でのキャリアアップのためにとても役立つ資格といえます。 2級土木施工管理技士は幅広い分野から出題され、記述試験もあり、取得する難易度がやや高い資格です。過去問の学習を通して出題範囲や形式を理解し、計画性を持って学習を進めることが重要になります。

時間をかけて試験対策を進めることで、未経験者からでも合格は可能です。 資格を取得した後、より良い環境でスキルを活かしたいと考える方も多いでしょう。そんなときは、建設業界専門の転職エージェント 「ベスキャリ建設」 にご相談ください。

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