どんな企業でも「会社に貢献する社員」を評価します。人事評価制度による評価結果を定期昇給や昇格、その年の賞与額に反映させることが一般的です。
建設会社で施工管理の仕事をしている人の中には、「営業や企画の仕事とは違い、現場やデスクワークなど仕事の幅が広い現場技術者はどのように評価されているの?」という疑問を持つ人も少なくありません。ここでは、施工管理など現場技術者として働く人の昇給や昇格のポイントについて解説します。
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■施工管理の評価基準は2種類ある!ブルーカラーとホワイトカラーについて
施工管理の仕事は大きく分けて、現場技術者として監理の仕事に就く人とデスクワークで積算業務やスケジュール作成、職人さんの管理などを行う人に分かれます。企業によっては内勤と現場でそれぞれ仕事を分担することもあれば、一人の監理技術者が現場と内勤を一挙に請け負うこともあります。中には、専任技術者として施工管理職全体の統括をしている人もいるかもしれません。
いろいろな役割や形態がある中で、人事評価の際には大きく分けて二つの評価基準があることをお伝えします。
◇施工管理のブルーカラーの評価基準について
ブルーカラーは作業着の襟が青かったことに起因する言葉です。一般的に「作業系・現場系社員」を指し示します。作業現場で働く職人さんをはじめ、施工管理の中でも現場監督(監理技術者なども含む)の業務や現場で働く人がこれに当たります。
ブルーカラーの場合、現場で実務経験を積んだ経験年数や国家資格の有無などが重視される傾向にあります。当たり前のことですが、一般職と変わらず勤怠に関する状況も評価基準の一つとして含まれます。
このほかにも、業界人としての職能や熟練度なども評価の対象になります。こちらは企業で定めた基準や評価を行う人の感覚によって左右される部分も否めませんが、施工管理担当者として「現場作業員に対しヒヤリハットやKY活動を積極的に啓発したか、現場での気配りができる人材か」といった基本的なことはもちろん、トラブル回避のために策を講じられる対応ができたかというような、その時々の出来事が評価されやすい傾向にあります。
◇施工管理のホワイトカラーの評価基準について
ホワイトカラーはワイシャツの襟の白に起因する言葉です。主に「デスクワークを行う人、内勤者」を指し示します。施工管理の仕事を担う人の場合、積算業務やCADオペレーター、作業員・機材・工事のスケジュール管理を行うデスクワークがこれに当てはまります。
ホワイトカラーの評価基準では、納期の達成や経験年数が一番の評価基準の対象となります。また、施工管理技士などの国家資格はもちろんのこと、2級以上の建設業経理検定やCADの技術があればさらに評価が上がるとみられます。
また、施工管理の4大管理である「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」のすべての業務が網羅できるのであればなお良いと考えられます。
■施工管理の昇給・昇格のペースとポイント
どんな仕事でも、昇給や昇格が仕事に対するモチベーションにつながります。また昇給や昇格は激務ともいわれる施工管理の仕事を続けるための糧にもなるでしょう。施工管理職の昇給や昇格に関しては、どのくらいの間隔になるのでしょうか。
◇施工管理の昇給・昇格のペースは年に1回か半年に1回が多い
年齢給といった定期昇給は年に1回必ずあります。このほか職能に対する昇給や昇格に関しては、それが叶うかどうかはさておき、年に1度もしくは半年に1度ほどの間隔で見直しが行われることが多いようです。もちろん企業によっても人事の取り扱いは異なりますが、定期的に職能に対する昇給や昇格の見直しは行われているので、常日ごろから業務への取り組みは真摯に行うべきだといえます。
現場中心の施工管理技士の場合は、工事を受注したタイミングで統括の仕事を任されることもあるかもしれません。
◇昇給・昇格のポイントは評価基準を満たしているかが重要
企業人事が行う昇給や昇格に対する見直しは定期的に行われていますが、すべての人が昇格するものではありません。建設業界では年功序列で役職を当てはめていくということもかつてはありましたが、施工管理技術者検定や監理技術者の資格者証を保有している人など、職能面での評価基準を満たしていることが重視される傾向にあるようです。
評価基準を満たしていれば昇給や昇格の検討対象に入るということは、建設業界だけではなく今やすべての企業に当てはまることです。
人事評価の中で自分が設定した目標をクリアできたかどうかに関しても問われます。ゼロ災を継続するために現場で行った工夫や、コストダウンを実現するために実践したことなど、小さなことでも目標達成に向けた実践ができたかといった点も評価の対象となります。
■実現可能な計画案、安全面の配慮、品質が高いことは施工管理において重要
社内で設定された評価基準に基づいて昇給や昇格のために仕事をすることが大切です。しかしながら、ブルーカラー・ホワイトカラー両方の顔を併せ持つ施工管理職の場合、社内評価基準というスタンダード以上に評価されるべき事項があります。
・遅延なくプロジェクトを遂行させ工期通りに仕事を進められるようにすること
・安全面に配慮し、労災事故や一般市民を巻き込んだ事故がない現場にすること
・コスト面とともに品質の高い建設工事を目指し、竣工まで責任を持って携わること
・建設物自体も品質が評価されるものであること
これらはすべて施工管理職の「4大管理」の要素から成り立っていることであり、施工管理職の使命と考えることもできます。
こちらに挙げた内容をベースに仕事をすることが、その企業にとって施工管理職個人の存在価値を高めることにつながります。
■まとめ
施工管理の仕事は、内勤・現場管理といった二つの側面を持ち合わせています。現場中心で働く人に関しても社内評価基準に照らし合わせて昇給や昇格の検討がなされますが、それ以上に「施工管理職であること」の使命ともいえる「工程・安全・品質・原価」の管理を徹底した仕事をすることが大切です。
この4つの基本を踏まえたうえで、社内の評価基準を満たす仕事を実践することが必要だといえます。