建設業は、後世に残る大きなものづくりに携われる、非常にやりがいのある仕事です。また、多くの人々の生活に直接影響を与えることができる点も魅力のひとつでしょう。
しかし実際には、「建設業界で働くのを辞めたい…。」と悩む方も少なくありません。建設業界を辞めたいと感じる理由には、共通するものが多く見られます。
この記事では、建設業界を辞めたいと感じる主な理由とその対処法について解説します。さらに業界のブラックな部分を払拭するための取り組みについてもまとめました。
あなたと同じように建設業界で働くのを辞めたいと悩んだ人が、どのように困難な状況を乗り越えてきたのかを知ることで、解決の糸口を見つけられるかもしれません。
建設業界を辞めたいと感じる主な理由
建設業界で働く方の中には、以下のような理由をきっかけに退職を考える人もいます。
- 業務量が多く長時間労働になる反面、給料に反映されない
- 働いた分の残業代が支払われない
- 泊まり込みや休日出勤が多く、休みが少ない
- 昇格しても仕事が増えるだけで給料が上がらない
- 中高年が多く、若手は職場になじめない
- 体育会系で口調が荒く、職場の雰囲気が悪い
- 工期が終わると次の現場に移動するので転勤の可能性がある
このように、労働環境や待遇面、職場の人間関係に悩むケースが多く見られます。
建設業界のなかには、人手不足の影響で業務負担が大きくなり、精神的にも肉体的にも疲れを感じやすい環境もあるようです。
関連記事:施工管理を辞めたい8つの理由!後悔しないための注意点
建設業界を辞めたいと思った時の対処法
ここでは、建設業界で働くを辞めたいと思ったときの選択肢をいくつか提案します。
労働基準監督署に相談する
「労働基準監督署」では、残業代の未払い、1か月で100時間以上の長時間残業、雇用契約と異なる労働条件など、労働基準法に反する内容の相談ができます。具体的な対処方法のアドバイスが受けられるだけでなく、悪質と認めた場合は会社への立入調査や是正勧告など、労働環境の改善に動くこともあります。また、いじめやパワハラなどの悩みは、会社と労働者のトラブルを解決する「労働局」に相談するといいでしょう。
弁護士事務所に相談する
労働環境などのトラブルを解決する方法として、「弁護士事務所に相談」する方法もあります。弁護士費用がかかりますが、労働環境や給与、いじめ、労働契約など、さまざまな悩みを解消してくれるのが弁護士の強みです。
休職制度を利用する
ストレスが原因で体調を崩してしまった場合は、自分の都合で会社を休む「休職制度」を利用する方法もあります。会社によっては、休職中は給料の支給がないところもありますが、心身の健康を取り戻すための選択肢として覚えておくといいでしょう。
転職を検討する
「不満はあるが会社と揉めたくない」「早く会社を辞めたい」という方は、転職を検討するのも良いでしょう。転職エージェントを活用すれば、円満退職のサポートや、非公開求人の紹介を受けることも可能です。今の環境に悩んでいる方は、無理をせず新しい働き方を見つける選択肢として転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
建設業界で転職したい場合、業界に特化した求人サイト「ベスキャリ建設」ををご活用ください。ベスキャリ建設は建設業界のさまざまな職種を検索できるため、一般的な求人サイトよりも的確な転職活動が可能になります。また、仕事探しで悩むことがあれば、専任のアドバイザーに相談できることもメリットといえるでしょう。
建設業界を辞めたい・向いていない人の特徴
建設業界にはやりがいのある仕事が多い一方で、向き・不向きがはっきりしやすい側面もあります。たとえば、体力仕事や屋外での作業が苦手な人、人間関係や上下関係に強いストレスを感じやすい人、突発的な変更や臨機応変な対応が苦手な人は、仕事に馴染めず「辞めたい」と感じやすい傾向にあります。
自分に合っていないと感じるポイントを把握することは、今後のキャリアを考えるうえでも大切です。
建設業界はブラックだから辞めたい人が多い?
建設業界は従来の良くないイメージが定着しており、いわゆる「ブラックな業界」と思う方も多いでしょう。しかし、深刻な人手不足という苦境に立たされている現在では、労働環境の環境に向けた取り組みが進んでおり、労働環境の整った企業も増えてきています。
建設業界がブラックと思われる理由を踏まえ、建設業界の改革について見ていきましょう。
若手社員の不足
業界全体の人手不足が続いているのは、若手社員が圧倒的に少ないことも関係しています。過酷な労働環境や長時間労働が原因で、若手社員がすぐに辞めてしまうケースが後を絶ちません。
ブラックなイメージのしわ寄せとして、若者が建設業界を避けることも要因の1つと考えられます。
短納期・短工期の依頼
ブラックといわれるもう1つの理由として、短納期・短工期を求められることが挙げられます。建設の世界では依頼主が示す工期を守ることが絶対であり、遅れた場合は契約違反として延滞分の罰則金が発生してしまいます。
依頼主との取引に影響するため、短納期・短工期でも依頼を受けざるを得ないことが長時間労働を招く要因と考えられます。
他社との競争が激しい
災害復興やオリンピック、地域の再開発事業など、現在の建設の需要は高い状態にあります。しかし、バブル期と比較すると、国内の工事受注件数は半減しており、建設業界内では他社との競争が激化している状況です。
他社との競争により、低予算、かつ短納期・短工期で受注する流れが出来上がり、建設現場に長時間労働を強いることにつながります。
労働環境改善を進める建設業界
建設業界では、労働環境の改善策に向けて以下の取り組みを進めています。
建設業を変える「ICT化」の推進
建設業界のICT化とは、工事の調査や設計、施工、管理などの生産工程業務を、インターネットなどの情報通信技術を利用するシステムのことです。たとえば、紙で管理していた「図面資料をデータで管理・閲覧する」「工事現場の写真を現場別に自動振り分けで台帳化する」といった技術があります。
これまでアナログでおこなっていた作業が効率化することで、長時間労働の解消や生産性の向上も期待されています。
建設業を変える「新4K」の取り組み
「新4K」とは、「給与が良い」「休みがある」「希望が持てる」「かっこいい」という、建設業を魅力ある仕事にするための新しい価値観です。国土交通省は、働き方改革や処遇改善を通じて、週休2日の普及や適正な工期設定、技能者の賃上げなどを推進しています。
これにより、過酷な労働環境や将来への不安から「辞めたい」と感じていた人にも、安心して働き続けられる環境が整いつつあります。
出典:国土交通省 「2024年問題」を契機に、より魅力ある業界へ -建設業編-
ブラックかどうかは会社や現場による
建設業界がブラックといわれる要因は、従来の仕事の進め方に加え、業界を取り巻く競争の激化などが絡み合っています。しかし、建設業界すべてがブラックというわけではなく、会社や現場によって大きく異なるのです。
4改革を積極的に導入している企業は大手ゼネコンが中心でしたが、中小でも独自の取り組みをおこなう企業もあります。建設業界=ブラックというイメージは、やがて過去のものとなるはずです。
まとめ
建設業界を辞めたいと思う理由は、長時間労働や休日の少なさ、給料の安さ、人間関係などが多いようです。労働環境が原因なら労働基準監督署、いじめやパワハラは労働局、悩みが複雑な場合は弁護士に相談しましょう。しかし、国内の受注量の減少や人手不足など、建設業界を取り巻く現状は厳しいものがあります。
ブラックといわれる要因を少しでも改善するため、建設業界では「新4K」への取り組みや「ICT化」を推進しています。長時間労働や休日など、辞めたい理由の解消に向けた取り組みにより、従来よりもずっと働きやすい職場に変わっていくでしょう。
従業員の働きやすさに配慮した会社への転職を考えている方は、ベスキャリ建設をご活用ください。建設業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたのお悩みや不安をしっかりとヒアリングしたうえで、希望条件に合う求人をご紹介します。