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土木設計とは?仕事内容や資格、向いている人・建築設計との違いも解説

更新:2025-06-17

土木設計とは?仕事内容や資格、向いている人・建築設計との違いも解説

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「土木設計ってどんな仕事?」「建築設計との違いがわからない」といった疑問を持つ人は多いでしょう。

土木設計とは、道路や橋、ダム、トンネルなどの社会インフラを設計し、安全で快適な都市づくりに貢献する仕事です。 設計図の作成や構造計算、現地調査など、専門的な知識と技術が求められます。また、地盤や環境条件を考慮した設計を行ううえで、CADや解析ソフトの活用も欠かせません。

本記事では、土木設計の具体的な業務内容や必要なスキル、向いている人の特徴などを詳しく解説します。この記事を読めば、土木設計の仕事が自分に合っているかを見極め、将来のキャリアに向けて前向きな一歩を踏み出せるでしょう。

土木設計とは?

土木設計とは、人々の生活の基盤となる道路、橋、ダムといったインフラ構造物を設計する重要な仕事です。 建築物の設計と同様に、安全性や機能性などの条件をもとに構造や仕様を設計します。

土木設計の業務は図面作成だけでなく、工事前の現地調査や工事内容のチェック、近隣住民への説明会の実施なども含まれます。

土木設計と建築設計の違い

土木設計と建築設計は、どちらも構造物を設計する仕事ですが、対象とする分野や目的に大きな違いがあります。以下の表で、それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目 土木設計 建築設計
対象とする構造物 ・道路
・橋梁
・ダム
・トンネル
・河川など
・住宅
・ビル
・マンション
・商業施設など
目的 社会インフラの整備 住環境の整備
設計の種類 ・概略設計(プロジェクト全体の大枠を決める)
・詳細設計(概略設計に基づいて詳細を詰める)
・意匠設計(建築物のデザインを考える)
・構造設計(建築物の安全性を考える)
・設備設計(機械設備や電気設備)
特徴 大規模プロジェクトが多く、耐久性や強度といった安全性が求められる デザイン性や機能性を重視しつつ、多様な設計が求められる
国家資格 ・土木施工管理技士
・技術士
・コンクリート診断士
・1・2級建設機械施工技士
・建築施工管理技士
・1・2級建築士

このように、土木設計は社会基盤を支えるのが主な仕事であるのに対し、建築設計は人々の生活空間をデザインするのが主な仕事であることがわかります。

土木設計の種類

土木設計には、分野ごとにさまざまな専門領域があります。主な分野と内容は以下の通りです。

分野 内容
道路設計 高速道路や一般道路のルートや構造を設計する
橋梁設計 各種橋(道路橋・歩道橋など)の構造や寸法を設計する
トンネル設計 地形や用途に応じたトンネルの形状や構造を設計する
河川設計 堤防や護岸、ダムなどの治水施設を設計する
上下水道設計 上水道・下水道の配管や処理施設の設計を行う

また、土木設計には「概略設計」と「詳細設計」の2つの段階があります。

概略設計

概略設計は、プロジェクト全体の大枠を決める設計段階です。たとえば、道路のルートやカーブ、使用する材料などを決定します。

この段階では、発注者との打ち合わせを重ねながら、業者から材料や数量の情報を収集し、図面や資料を成果品として納品します。

詳細設計

詳細設計は、概略設計に基づき、より具体的な施工内容を詰めていく工程です。工作物の安全性や機能を確保するため、ミリ単位の精密な設計が求められます。

たとえば、道路やトンネルの設計ではカーブの曲率や勾配など細部にわたり検討し、現地確認や発注者との調整を経て、工事に使用可能な設計図を作成します。

土木設計の仕事の流れ

土木設計業務の流れについて解説します。

ステップ 工程名 内容
1 初回協議 業務を始めるにあたって、発注者と業務の目的、条件、留意点等について協議します。
2 業務計画書作成 業務の実施方針・方法、組織、工程などについて具体的な計画を立て、業務計画書を作成して、発注者に提出します。
3 現地踏査 実際に現地に行き、計画地周辺の地形や土地利用状況、交通、構造物、用排水施設、環境など設計計画に必要な現地の概況を把握して記録します。
4 基本条件の設定 設計の骨子となる重要な事項を整理し、基本条件として設定します。
5 設計計画 基本条件に基づき、測量成果(平面・縦横断図など)を使用して詳細な設計を行います。
6 構造計算 構造物の安全性を数値化して計算します。
7 設計協議 設計計画案について、発注者と協議して詳細を決定します。
8 図面作成 計画に基づき、平面図、縦断図、横断図、構造図などの設計図を作成します。
9 数量計算 設計図に基づき、積算を行うための工事数量(工種や工種ごとの施工量、材料の使用量など)を算定します。
10 報告書作成 業務の流れや設計成果、留意点などについて取りまとめます。
11 納品 発注者に設計図や数量計算書、報告書などの成果を確認してもらい、納品します。
12 完成検査 発注者の検査官による検査を受けます。検査では、成果品が業務目的や契約項目・数量に適合しているかを確認されます。技術的な質問に対し、回答を求められることもあります。

引用:一般財団法人 鳥取県測量設計業協会|設計業務の流れ

土木設計の仕事・業務内容

土木設計の仕事は、図面の作成から関係機関との協議まで多岐にわたります。ここでは、土木設計の具体的な業務内容を5つの項目に分けてわかりやすく解説します。

図面作成

道路や橋、ダムなどの構造物を設計する際には、CAD(コンピュータ支援設計)と呼ばれるソフトウェアを用いて詳細な設計図を作成します。 設計図は施工現場での工事の指針となるため、正確性とわかりやすさが求められます。

図面を作成する際は、地形や地盤の状態、使用する材料、周辺環境なども十分に考慮しなければなりません。 設計者の意図が正確に伝わる図面を作ることで、安全かつ効率的な施工につながるでしょう。

計算

構造物が十分な強度と安定性を備えているかを確認するために、各種の構造計算を行います。 橋やトンネル、ダムなどの設計では、荷重や風圧、地震の影響を考慮しなければなりません。

計算には、材料力学や構造力学などの専門知識が求められ、設計基準に基づいた正確な数値解析が必要となります。適切な構造計算を行うことで、長期間にわたり安全に利用できるインフラの実現につながります。

書類作成

設計図書や報告書、計算書などの各種書類を作成し、関係者へ設計内容を正確に伝えることも土木設計の重要な業務です。これらの書類は、施工業者や行政機関との協議に使用され、設計内容の確認や承認手続きにも欠かせません。

また、工事の進行管理や品質管理の記録としても活用され、将来的なメンテナンスや改修工事にも役立ちます。わかりやすく整理された書類を作成することが、プロジェクトのスムーズな進行に直結します。

現地調査

設計の前段階として、実際に現場を訪れ、地形や地質、地盤の状態、周辺環境、交通状況なども詳しく調査します。 正確な設計を行うためには、こうした綿密な現地調査が重要です。

たとえば橋を設計する場合、適切な構造設計を行うために、河川の流れや土地の強度を調査しデータを集めます。現地調査で得たデータをもとに、より安全かつ実現性の高い設計を行うことができます。

関係機関との協議

設計内容が法律や各種規制に適合しているかを確認するため、官公庁や自治体との協議が行われます。また、地域住民や周辺の企業と話し合い、工事による影響を適切に伝え、理解を得ることも、土木設計における重要な業務の一つです。

たとえば、新しい道路を建設する際には、交通の流れや騒音対策、防災対応などについて関係機関や住民と十分に協議します。より安全で利用しやすい社会インフラを実現するためには、円滑かつ丁寧な調整・対話が欠かせません。

土木設計で使用するツール・ソフトウェア

土木設計の現場では、効率的かつ正確な設計を行うために、さまざまなツールやソフトウェアが活用されています。ここでは、土木設計で使用される代表的なソフトウェアやツールを紹介します。

ツール・ソフトウェア 概要
CAD 土木設計に欠かせない設計支援ソフト
2次元CADは平面図や断面図の作成に適しており、施工図の作成に活用できる
一方、3次元CADは立体的なモデルを作成でき、構造の把握やシミュレーションを容易に行える
Bentley MicroStation
BIM/CIM 3次元モデルを活用する技術支援ソフト
BIMは建築分野、CIMは土木分野で使われ、設計から施工、維持管理までの情報を統合的に管理できる
Bentley MicroStation
解析ソフトウェア 構造物の安全性や耐久性を評価するために使用されるソフト
地震や風、荷重の影響をシミュレーションし、構造物の強度や安定性を確認する
代表的なものが、有限要素法(FEM)を用いた構造解析ソフト
Engineer's Studio
積算ソフトウェア 工事費用を正確に見積もるために使用されるソフト
設計図や仕様書をもとに、必要な資材や工事費を算出し、適正なコスト管理を行う
ATLUS NEXT
プロジェクト管理ツール 工程や進捗を管理し、円滑にプロジェクトを進めるために活用されるソフトウェア
設計スケジュールの調整やタスクの割り当て、関係者との情報共有を効率化し、遅延やミスを防ぐ
CostNavi 工程表

土木設計が活躍する業種

土木設計の仕事は、建設コンサルタントやゼネコン、官公庁・自治体などさまざまな業種で活躍しています。以下の表では、それぞれの業種における仕事内容と役割をまとめました。

業種・組織 仕事内容 土木設計における役割
建設コンサルタント会社 公共事業の企画・計画・設計・施工管理・点検など 事業全体の計画立案・設計を担当し、技術的な中核を担う
ゼネコン(総合建設会社) 現場での施工・施工管理・完成後の点検など 実際の工事を行い、設計内容を形にする役割
官公庁・自治体 計画立案、入札・契約、設計成果の確認など 発注者(事業主)として全体を管理・監督する

土木設計に必要な資格と勉強方法

ここでは、土木設計の仕事において重宝される資格や、その取得に向けた勉強方法を解説します。

土木設計の仕事において、必須となる資格はありませんが、専門知識を証明する資格を保有していると、就職・転職・キャリアアップの面で有利になります。

技術士(建設部門)

技術士(建設部門)は、土木設計に関する高度な専門知識と実務経験を証明する国家資格です。設計や施工、維持管理など幅広い分野で活躍でき、官公庁や企業からの信頼性も高まります。

受験には一定の実務経験が必要で、一次試験と二次試験の両方に合格する必要があります。試験では専門知識だけでなく、問題解決能力や論理的思考力も問われます。勉強方法としては、過去問を分析し、出題傾向を把握することが効果的です。

土木施工管理技士

土木施工管理技士は、土木工事の現場管理に関する知識と技術を証明する国家資格で、1級と2級があります。取得すると、工事の進行管理や品質管理、安全管理などの業務を担う上で、現場での信頼性向上につながります。

特に1級を取得すると、大規模な公共工事における「監理技術者」として活躍でき、キャリアアップにもつながります。

土木施工管理技士の試験は、第一次検定と第二次検定に分かれており、出題範囲は広範です。 取得を目指す方は、過去問を繰り返し解き、各分野の理解度を高めながら効率的に学習することを意識しましょう。

RCCM

RCCM(Registered Civil Consulting Manager)は、建設コンサルタント業務に従事する技術者向けの民間資格です。公共事業の設計や施工監理に関する知識や経験を証明でき、建設コンサルタント業界での信頼性が高まります。

試験は複数の専門分野に分かれており、業務経験を活かした論述問題への対応力が求められます。効果的な勉強方法として、過去問演習や実務での経験をもとにした論文対策がポイントとなるでしょう。

出典:RCCM資格ホームページ

測量士

測量士は、土地や構造物の位置・形状を正確に測定し、地図作成や設計の基礎資料を提供する専門資格です。土木設計において、地形や地盤の正確なデータ取得は、構造物の安全性や施工計画に直結する重要な工程です。

測量士の資格を取得すると、公共測量の計画や実施を担える立場となり、より専門的な業務に携われるようになります。 なお、試験の難易度は高く、令和6年の測量士試験における合格率は13.0%でした。

合格には、過去問演習をひたすらこなして、情報のインプットとアウトプットを繰り返す必要があるでしょう。

出典:令和6年測量士・測量士補試験の合格者を発表|国土交通省国土地理院

土木設計の魅力・やりがい

土木設計の魅力は、自分が関わった仕事が社会インフラを支えていると実感できることです。安全で快適な都市づくりに貢献できるという充実感は、他の職種ではなかなか味わえない大きなやりがいとなるでしょう。

もう1つの魅力は、成果が目に見える形で残るという点です。 土木設計では、道路や橋、ダムなど大規模な構造物を扱うため、自分が携わった設計が形となって完成し、長年にわたって多くの人々に利用されます。

その姿を見るたびに、自分の仕事の意義を改めて実感することができるでしょう。

土木設計に向いている人の特徴

ここでは、土木設計に向いている人の特徴として、以下の3つを詳しく解説します。

これから土木設計の仕事を目指す方が、自分に適性があるかどうかを判断するうえでのヒントとなる内容になっています。

論理的思考力がある

論理的思考力を持って仕事に臨める人は、土木設計の仕事に向いています。なぜなら、土木設計では、複雑な条件を整理し、最適な設計を導き出す力が求められるからです。

たとえば、大規模な構造物を設計する際には、地形や交通量、耐久性などさまざまな要素を考慮しながら、構造を決定する必要があります。計算結果や設計基準に基づいて、合理的な判断を下す力も求められるでしょう。

正確性や安全性が求められる土木設計の現場では、論理的思考力が大きな武器になります。構造物の完成形をイメージしながら設計できる人は、この能力を存分に活かして活躍できるでしょう。

コミュニケーション能力がある

土木設計に向いている人の特徴の1つが、高いコミュニケーション能力です。土木設計の仕事では、クライアントや施工業者、行政機関など多くの関係者と協力しながら業務を遂行する必要があります。

意図を正しく伝えるだけでなく、相手の要望や懸念を正確に理解する力も欠かせません。 これらが不足していると、設計のズレや調整の遅れにつながり、プロジェクトの進行に支障をきたすおそれがあります。

円滑なコミュニケーションを意識して業務に取り組める人は、土木設計の現場でより多くの場面で活躍できるでしょう。 

体力がある

土木設計の仕事は、現場調査や打ち合わせが多いため、体力がある人に向いています。 デスクワークが中心と思われがちですが、実際には現地調査や関係者との打ち合わせのために屋外で活動することも少なくありません。

特に大規模なインフラ整備では、長距離の移動や現場での確認作業が連日発生することもあります。 天候や地形の影響を受ける場面もあるため、体力がある人ほど、業務を安定してこなせる可能性が高まります。

屋外活動を含む実務に対応できる体力は、土木設計の現場で大きな強みとなるでしょう。

土木設計に関連するよくある質問

ここでは、土木設計に関するよくある質問に対してQ&A形式で解説していきます。土木設計の仕事への疑問を解消しましょう。

土木設計とはどういう仕事ですか?

土木設計とは、道路や橋などの社会インフラとなる構造物を設計する仕事です。安全性や耐久性を考慮しながら、構造物の形状や仕様を決定し、施工に必要な設計図や計算書を作成します。

設計には、地盤の特性や気象条件を考慮した高度な専門知識が求められ、CADや解析ソフトを活用することも一般的です。社会インフラを支える重要な仕事であり、都市開発や防災対策にも大きく貢献します。

土木設計と建築設計の違いは何ですか?

土木設計と建築設計の違いは、対象とする構造物や目的にあります。土木設計は、道路や橋、ダムやトンネルなどの社会インフラが対象です。

設計の際は安全性や耐久性が重視されます。 一方、建築設計は、住宅やオフィスビル、商業施設などの建物を対象とし、快適性やデザイン性にも重点が置かれます。

土木設計の年収は?

厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト」によると、土木設計技術者の平均年収は約604万円とされています。また、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者全体の平均年収は約460万円であることから、土木設計技術者の年収は比較的高い水準にあるといえるでしょう。

ただしこの数字は、経験や資格の有無、勤務先の業種や規模によって異なります。「技術士」や「土木施工管理技士」などの資格を取得したり、管理職を目指したりすれば、さらなる収入アップも期待できます。

土木設計技士の合格率は?

土木設計技士の合格率は比較的高く、難易度はそこまで高くありません。 例えば、2016年の合格率は77.8%、2018年は66.7%と、一定の努力をすれば十分に合格可能な水準です。

試験は、四肢択一式問題(全50問)と記述式問題で構成され、合格するにはいずれも50%以上の得点が必要となります。過去問の演習をしっかり行うことで、合格への道が開けるでしょう。

出典:平成30年土木設計技士検定試験結果|職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会 富士教育訓練センター

出典:平成28年土木設計技士検定試験結果|職業訓練法人 全国建設産業教育訓練協会 富士教育訓練センター

まとめ

土木設計は、道路や橋、ダム、トンネルなど、私たちの生活に欠かせない社会インフラを支える重要な仕事です。安全性や耐久性を考慮しながら、都市の発展や防災対策にも貢献できるため、やりがいを持って働くことができるでしょう。

設計業務では、CADや解析ソフトを活用した精密な作業が求められます。技術士や土木施工管理技士などの資格を取得することでキャリアアップのチャンスも広がります。

「土木設計の仕事にチャレンジしたい」「自分が向いているのか分からない」という方は、ぜひ「ベスキャリ建設」をご活用ください。業界に詳しいアドバイザーへのキャリア相談も可能です。スケールの大きな仕事に挑戦し、理想の未来を叶えましょう。

この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

ベスキャリ建設は株式会社コプロコンストラクションが運営する建設・施工管理に特化した求人・転職情報サイトです。建設業界コラムでは、建設業界の基礎知識をはじめ、資格、給与、働き方、キャリアアップや転職情報などを発信しています。これから建設業界で働いてみたいと思っている未経験の方や、建設業界でさらなるキャリアアップを目指したい方に向けたお役立ち情報が満載ですので、ぜひご活用ください。

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