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ICT施工とは?定義や目的、導入の流れ、メリット・デメリットについて解説

更新:2025-08-18

ICT施工とは?定義や目的、導入の流れ、メリット・デメリットについて解説

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「ICT施工とは?」「ICT施工を導入するメリットやデメリットがよくわからない」「ICT施工導入における流れは?」といった疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。

建設業界では、慢性的な人手不足や技術継承の課題が深刻化しています。こうした背景の中で注目されているのが「ICT施工」です。

ICT施工とは、ドローン測量や3次元設計、建設機械の自動制御など、情報通信技術を活用した新しい施工手法のことです。国土交通省が主導するi-Construction施策の中核を担う技術であり、生産性の向上、安全性の確保、働き方改革にもつながるとして導入が進んでいます。

本記事では、ICT施工の概要から導入手順、メリット・デメリット、現場を支える最新技術、活躍できる人材像まで、網羅的にわかりやすく解説します。建設業界で活躍している方や、これから新規参入、就職・転職を考えている方、ICT施工に興味関心がある方は、ぜひチェックしてみてください。

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ICT施工とは

ICT施工とは、建設現場のあらゆる工程において、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を積極的に活用する施工手法です。

具体的には、ドローンやレーザースキャナーによる高精度な3次元測量、3Dモデルを用いた設計・施工計画、自動制御可能な建設機械の導入などが挙げられます。

ICT施工により、作業の効率化、精度向上、安全性の確保など、さまざまなメリットが生まれています。データに基づいたスマートな現場運営を実現するのがICT施工の本質です。

出典:ICT施工とは|国土交通省
出典:ICT施工とは i-Construction|国土交通省

ICT施工と国土交通省の取り組み

国土交通省では、建設現場の生産性向上や担い手不足への対応を目的に、「i-Construction」施策の一環としてICT施工を推進しています。

とくにICT土工については、測量から設計・施工・検査・納品に至るまで、各段階でICTを取り入れるトップランナー施策として重点的に導入が進められています。

また、ICTアドバイザー制度やeラーニング環境の整備など、民間事業者がスムーズにICT施工へ移行できるような支援体制も構築されています。

これらの取り組みにより、建設業界全体のデジタル化が着実に加速しています。

ICT施工と建設DXの関係性

ICT施工は、建設業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するための重要な柱の一つです。

建設DXとは、従来のアナログ主体の業務プロセスをデジタル技術で再設計し、抜本的な業務効率化や働き方改革を進める動きのことを指します。

ICT施工はその中でも、現場レベルでのデータ活用や自動化を担う領域として位置づけられているのです。

たとえば、測量データのクラウド共有やICT建機の自動運転、AIによる出来形管理などが進むことで、業務の属人化が解消され、若手や未経験者でも活躍しやすい環境が整います。

結果として、現場の効率化にとどまらず、産業構造そのものの革新へとつながっていくでしょう。

ICT施工の具体的な内容

ICT施工とは、建設現場においてICT(情報通信技術)を活用して、生産性の向上や安全性の確保を目指す先進的な施工手法です。

従来の人手と経験に頼る作業を、デジタル化によって可視化・自動化し、効率化することが可能になります。

具体的には、ドローンによる三次元測量、3Dデータに基づいた施工計画、自動制御された建設機械、クラウドによるデータ共有などが組み合わさり、全工程でのデジタル連携を実現しています。

ICT施工の流れ

ICT施工は、以下の5つのステップを通じて実行されます。それぞれの工程にICT技術を導入することで、精度の向上と効率的な現場運営が可能となります。

測量

従来の測量作業は、手作業による点の計測が主流でしたが、ICT施工ではドローンやレーザースキャナーを活用して、広範囲を面的に計測できる「三次元測量」が主流となっています。

短時間で高密度な地形データを取得でき、以降の設計・施工工程の精度とスピードが大きく向上します。

設計

三次元測量で取得した現況データをもとに、3D設計ソフトを用いて施工モデルを作成します。

従来は2次元図面に依存していた施工計画も、3Dモデルを活用することで、盛土・切土量の自動算出や、視覚的なシミュレーションが可能となり、設計段階から施工の最適化を図れます。

施工

施工段階では、ICT建設機械(油圧ショベルやブルドーザーなど)を用い、3次元設計データに基づいて自動制御された作業が行われます。

ベテランでなくとも高精度な施工が可能となり、人的ミスや手戻りを減らす効果も期待されます。また、丁張り設置が不要となるなど、省力化にもつながるでしょう。

施工管理

現場の進捗や出来形管理もデジタル化が進行しています。

3Dスキャナーやドローンを用いて取得した測量データを比較し、設計通りに施工されているかをリアルタイムに把握することが可能です。

検測回数や報告書作成の手間が軽減され、管理業務の効率化が図られます。

納品

従来は紙ベースの書類が主流だった納品も、ICT施工では電子納品が推奨されます。

3次元モデルや施工履歴のデータを電子的に提出することで、確認作業が迅速になり、発注者との情報共有もスムーズに行えます。

さらに、検査項目が簡素化されるため、全体の工期短縮にもつながるでしょう。

ICT施工を導入するメリット5つ

ICT施工を導入することで、建設現場の業務効率や品質向上に大きな効果が期待できます。ここでは主な5つのメリットを紹介します。

ICT施工の導入による5つのメリット
  • ① 作業の効率化と省力化
  • ② 技能者の負担軽減と安全性の向上
  • ③ 若手・未経験者でも作業しやすくなる
  • ④ 書類業務の削減
  • ⑤ データの可視化による品質向上

 ICT施工の導入により、作業の効率化や省力化、安全性の向上、若手でも扱いやすい環境の整備、書類業務の削減、そして3Dデータによる施工精度の向上といった多くのメリットが期待できます。

ICT施工を導入するデメリット5つ

ICT施工は多くの利点がありますが、導入にはいくつかの課題や注意点も存在します。以下では代表的なデメリットを5つ紹介します。

ICT施工の課題と導入時の注意点
  • ① 導入コストが高い
  • ② 操作スキルの習得が必要
  • ③ 通信・データ環境の整備が必須
  • ④ トラブル発生時の対応に時間がかかる
  • ⑤ 現場ごとの適用難易度に差がある

ICT施工には高額な初期投資や操作スキルの習得、通信環境の整備が必要であり、トラブル時の対応や現場条件による適用の難しさも課題です。

導入時は費用対効果や現場適性を見極めた慎重な判断が求められます。ただし、国や自治体による補助制度や支援体制も整いつつあり、段階的な導入も現実的な選択肢となっています。

施工管理にICTを導入する際の手順

施工管理業務にICTを導入するには、準備から運用・改善までを段階的に進めることが重要です。

以下では、導入の基本ステップを3つに分けて解説します。

1. ICT導入計画の立案

まずは、ICT導入の目的や効果を明確にし、自社の業務特性や工事内容に合ったツール・技術を選定します。

予算や現場規模、スタッフのスキルレベルを考慮しながら、どの工程にICTを活用するかを定めることが重要です。

さらに、必要な機器やソフトウェアの選定、教育体制の整備なども計画段階で整理しておきましょう。

2. 業務フローの振り返り

ICTを導入する前に、現行の施工管理プロセスを可視化し、課題やボトルネックを洗い出すことが重要です。

無駄な工程やアナログ作業がどこにあるかを把握することで、ICT導入による業務改善の効果を高めることができます。

現場スタッフの声を取り入れながら、実態に即したフロー見直しを行うことが成功の秘訣だといえるでしょう。

3. 導入後の状況について検証

ICTの導入が完了したら、運用状況や業務への影響を定期的に評価・検証します。期待した効果が出ているか、現場に混乱はないかなどを把握し、必要に応じて改善策を講じましょう。

また、スタッフへのフォローアップ研修や、他工事への展開に向けたナレッジ共有も効果的です。継続的な運用改善が、真の定着と成功につながります。

ICT施工を支える最新技術

ICT施工は、複数の先端技術の連携によって実現されています。ここでは、現場のスマート化を支える代表的な5つの技術について解説します。

「BIM/CIM」3次元モデルで設計・施工を可視化

BIMやCIMは、建設対象物を3次元で可視化し、関係者間で情報共有するための技術です。

従来の2D図面では把握しにくかった施工計画や干渉箇所も、3Dモデルで直感的に理解できるため、ミスの防止や設計変更の迅速化が可能になります。

ICT施工においては、現況データとの連携で、より精度の高い施工計画が立てられるのが特徴です。

「IoT」現場データをリアルタイム管理

IoT(Internet of Things)は、建機やセンサーをネットワークに接続し、現場の状況をリアルタイムで把握・制御する技術です。

作業進捗や建機の稼働状況、温湿度や振動などの環境情報を常時モニタリングできるため、施工管理の精度が飛躍的に向上します。

また、異常の早期検知によってトラブル対応も迅速に行え、現場の安全性を高める効果も期待できます。

「ドローン」測量・監視を効率化

ドローンは、上空からの撮影やレーザー測量により、広範囲の地形データを短時間で取得できる技術です。

従来の手作業に比べて効率が大幅に向上し、3次元点群データの生成にも対応しています。

さらに、進捗状況の確認や高所の点検といった監視業務にも活用され、作業負担の軽減と安全性の向上を同時に実現しています。

「ロボット」省人化と安全性の両立

建設現場では、鉄筋組立や溶接、運搬などの繰り返し作業を担うロボットの導入が進んでいます。

人手不足への対応はもちろん、危険な作業環境での事故リスクを軽減できるのが大きなメリットです。

ロボット技術は、遠隔操作や自律制御にも対応し、現場ごとの状況に応じた柔軟な対応が可能です。省人化と安全性の両立に貢献する重要な要素だといえるでしょう。

「AI」設計支援・危険予知・自動検査

AI(人工知能)は、設計図面の自動生成、施工データの異常検知、画像解析による検査作業など、多岐にわたる分野で活用されています。

たとえば、過去の事故データを学習し、危険箇所を予測することで、事前の安全対策が可能になります。

また、熟練技術者のノウハウをAIで再現することで、人材不足への対応や品質の平準化も期待できるでしょう。

ICT施工の導入が進む中で活躍できる人材とは?

ICT施工の普及に伴い、従来の現場経験だけでなく、デジタル技術に対応できる柔軟な人材が求められています。

ドローン測量や3D設計ソフト、ICT建機の操作スキルなどを習得した技術者は、特に重宝される存在です。

また、現場とオフィスをつなぐデータ管理やチーム間の情報共有をリードできる人も活躍の場が広がります。

ITリテラシーと現場力の両方を備えたハイブリッド人材が、これからの建設業界を牽引していくでしょう。

ICT施工のまとめ

ICT施工は、建設現場の生産性向上・省力化・安全確保を実現する革新的な手法です。ドローン測量や3次元設計、ICT建機の活用により、施工の効率化と品質向上が進みつつあります。

導入にはコストや運用スキルの課題もありますが、国の支援や教育体制も整いつつあり、今後ますます普及が見込まれます。

ICTを活用できる人材が活躍する時代へと進化する中、企業だけでなく個人にもデジタル技術への対応が求められているため、最新の動向を常にキャッチし、変化に柔軟に対応することが重要です。

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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