「施工管理技士の資格にはどんな種類があるの?」「資格取得のメリットや難易度は?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
施工管理技士には7種類の資格があり、それぞれ1級と2級に分かれています。資格ごとに受験資格や難易度、取得メリットが異なるため、どの資格を取得すべきか迷う方も少なくありません。
本記事では、施工管理技士の資格を一覧表でわかりやすく整理し、受験資格や難易度、取得のメリットについて解説します。
さらに、自分に最適な資格を選ぶためのポイントも紹介します。建設業界で活躍したい方や、キャリアアップを目指す方はぜひ参考にしてください。
施工管理技士とは?建設業法で定められた国家試験
施工管理技士とは、建設業法で定められた国家資格で、建設工事の施工計画の作成や工程管理、品質管理、安全管理など、工事全体を統括する技術者のことです。
この資格は、専門分野別ごとに7種類あり、さらに1級と2級に分かれています。1級は、より大規模工事の監理技術者や主任技術者として活躍でき、2級は中小規模の工事の主任技術者としての役割を担います。
施工管理技士の資格を取得するためには、国家試験(一次検定・二次検定)に合格しなければなりません。試験では、建設に関する専門知識や技術、施工管理に関する知識などが問われます。
【難易度一覧表】施工管理技士の資格7種類
施工管理技士の資格は、建築・土木・電気工事など、専門分野ごとに7種類あり、それぞれ1級、2級に分かれています。 以下の一覧表は、建設業情報センター(CIC)公式サイトが公表する、過去の合格率をもとに、資格の難易度を順位付けしたものです。
ここ数年で最も難易度が高いのは「1級造園施工管理技士」ということが見て取れます。
順位 | 資格種類 |
---|---|
1位 | 1級造園施工管理技士 |
2位 | 2級建築施工管理技士 |
3位 | 1級建築施工管理技士 |
4位 | 1級電気通信工事施工管理技士 |
5位 | 1級土木施工管理技士 |
6位 | 1級建設機械施工管理技士 |
7位 | 2級造園施工管理技士 |
8位 | 2級管工事施工管理技士 |
9位 | 1級管工事施工管理技士 |
10位 | 2級電気通信工事施工管理技士 |
11位 | 2級土木施工管理技士 |
12位 | 2級電気工事施工管理技士 |
13位 | 1級電気工事施工管理技士 |
14位 | 2級建設機械施工管理技士 |
引用:7種類の施工管理技士の資格と難易度(日本建設情報センター)
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、庭園の造成、道路の緑化、公園の整備など、造園工事における工程管理や現場管理に必要な資格です。
1級と2級の大きな違いは、大規模工事において監理技術者として従事できるかどうかにあります。 造園施工管理技士の活躍の場は、公共施設の緑化や公園の整備など幅広く、資格取得後は造園会社だけでなく、建設会社などでも活躍できます。
項目 | 1級造園施工管理技士 | 2級造園施工管理技士 |
---|---|---|
工事の規模 | 大規模 (請負金額5,000万円以上) |
小規模 |
監理技術者 | 従事可能 | 従事不可 |
主任技術者 | 従事可能 | 従事可能 |
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、建築工事における「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」を担う技術者です。。
資格には1級と2級があり、担当できる工事の規模や工種が異なります。 また、2級建築施工管理技士は「建築」「躯体」「仕上げ」の3つの区分に分かれており、取得した資格に応じた工種のみ管理できます。
項目 | 1級建築施工管理技士 | 2級建築施工管理技士 |
---|---|---|
工事の規模 | 大規模 (高層ビル・大型商業施設等) |
小規模 (戸建て住宅・中小規模のビル) |
管理可能工種 | 建築工事一式 (全ての工種の管理が可能) |
建築・躯体・仕上げのいずれか (資格を持つ区分のみ管理が可能) |
監理技術者 | 従事可能 | 従事不可 |
専任技術者 | 従事可能 | 従事不可 |
主任技術者 | 従事可能 | 従事可能 |
1級は大規模な工事の管理を担当し、2級は比較的身近な小規模の工事の管理を行う資格です。
電気通信工事施工管理技士
電気通信工事施工管理技士は、インターネットの高速化や通信事業の複雑化に対応するため、2019年に新設された資格です。
電気通信工事分野における専門技術者の確保を目的として新設されました。 ほかの施工管理技士と同様に、1級と2級があり、管理できる現場の規模が異なります。
項目 | 1級土木施工管理技士 | 2級土木施工管理技士 |
---|---|---|
工事の規模 | 大規模 (請負金額5,000万円以上) |
小規模 |
管理可能工種 | 全ての土木工事 | 土木・鋼構造物の塗装・薬液注入 (資格を持つ区分のみ管理が可能) |
監理技術者 | 従事可能 | 従事不可 |
主任技術者 | 従事可能 | 従事可能 |
建設機械施工技士
建設機械施工技士は、現場管理に加え、建設機械の操作・点検・整備を行う技術者です。
また、特定自主検査員として建設機械の検査を担当することもできます。 建設機械は第1種~第6種に分類されており、1級はすべての種類を取り扱うことが可能です。一方で、2級は取得した機械の種類に限り、操作・管理することができます。
項目 | 1級建設機械施工技士 | 2級建設機械施工技士 |
---|---|---|
業務範囲 | 特定建設業の工事 一般建設業の工事 |
一般建設業の工事のみ |
使用可能機械 | 第1種~第6種までの機械全て | 取得した種別の機械のみ |
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、建築物や施設の配管工事を管理するための資格です。管工事には、空調や冷暖房設備、上下水道管、ガス管、浄化槽といったさまざまな工種があります。
これらの設備は建物の機能に直結するため、正確な施工管理が求められます。 管工事の施工ミスは、水漏れやガス漏れなど大きな問題につながる可能性があるため、管工事施工管理技士は建物の機能性や安全性を確保するうえで欠かせません。
項目 | 1級管工事施工管理技士 | 2級管工事施工管理技士 |
---|---|---|
工事の規模 | 大規模 (請負金額5,000万円以上) |
小規模 |
監理技術者 | 従事可能 | 従事不可 |
専任技術者 | 従事可能 | 従事可能 |
主任技術者 | 従事可能 | 従事可能 |
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、建築現場や土木工事の現場における電気設備工事の管理を担う資格です。
送電設備や発電設備、建物の照明設備など、電気インフラの施工管理に必要不可欠な技術者です。また、1級と2級では管理できる工事の規模が異なります。
項目 | 1級電気工事施工管理技士 | 2級電気工事施工管理技士 |
---|---|---|
工事の規模 | 大規模 (発電所・変電所・高層ビル等) |
小規模 (戸建て住宅・小規模店舗等) |
特定建設業の 監理技術者 |
従事可能 | 従事不可 |
特定建設業の 主任技術者 |
従事可能 | 従事不可 |
特定建設業の 専任技術者 |
従事可能 | 従事可能 |
一般建設業の 主任技術者 |
従事可能 | 従事可能 |
一般建設業の 専任技術者 |
従事可能 | 従事可能 |
特定建設業許可業者は、営業所ごとに1級電気工事施工管理技士を置くことが義務付けられており、需要の高い資格と言えます。
施工管理技士の受験資格
施工管理技士の受験資格は1級と2級で異なり、最終学歴や実務経験年数が考慮されます。
一次検定は学歴や実務経験を問わず、一定の年齢に達していれば受験可能です。一方、二次検定は受験するために一定の実務経験が必要となります。
1級と2級それぞれの受験資格
以下の表に、1級と2級ごとの受験資格をまとめました。
令和6年度より受験資格が見直され、学歴ごとの細かい実務経験年数の条件が廃止されました。
施工管理技士1級の受験資格
学歴 | 一次検定 | 二次検定 |
---|---|---|
大学(指定学科) | 19歳以上 (受験年度末時点) |
1級一次検定合格後 ・5年以上の実務経験 ・1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験 ・1年以上の監理技術者補佐の実務経験 |
大学(指定学科以外) | ||
短大・高専(指定学科) | ||
短大・高専(指定学科以外) | 2級二次検定合格後 ・5年以上の実務経験(1級一次合格者に限る) ・1年以上の特定実務経験を含む3年以上の実務経験(1級一次合格者に限る) |
|
高校(指定学科) | ||
高校(指定学科以外) | ||
2級合格者 | ||
上記以外 |
出典:「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等について|国土交通省
施工管理技士2級の受験資格
学歴 | 一次検定 | 二次検定 |
---|---|---|
大学(指定学科) | 17歳以上 (受験年度末時点) |
2級一次検定合格後 ・3年以上の実務経験 (建設機械種目は2年以上) 1級一次検定合格後 ・1年以上の実務経験 |
大学(指定学科以外) | ||
短大・高専(指定学科) | ||
短大・高専(指定学科以外) | ||
高校(指定学科) | ||
高校(指定学科以外) |
出典:「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等について|国土交通省
実務経験と学歴の要件
施工管理技士の受験資格は、令和6年度の見直しにより、最終学歴による実務経験年数の細かな条件が緩和されました。
特に1級は、以前は一次検定を受けるために最終学歴ごとに一定の実務経験が必要でした。現在は、19歳以上であれば実務経験年数に関係なく誰でも受験可能です。
令和6年度からの変更点と注意点
令和6年度に実施された受験資格の見直しについて、主な変更点と注意点を解説します。
2級:17歳以上であれば、学歴・実務経験に関係なく受験可能
一次検定合格後の実務経験年数で判断
1級:一次検定合格後、5年以上の実務経験が必要
2級:一次検定合格後、3年以上の実務経験が必要(建設機械種目の場合は2年以上)
受験資格は年度ごとに変更される可能性があるため、最新の情報は国土交通省のウェブサイトなどでご確認ください。
出典:「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等について|国土交通省
施工管理技士試験の対策
建設業界でのキャリアアップの1つとして、施工管理技士の資格取得があげられます。 試験対策は、過去問を解くだけでなく、出題傾向を把握し、効率的な学習計画を立てることが重要です。
ここでは、合格に向けた効果的な勉強方法や試験対策について解説します。
1級と2級の試験内容と合格率の違い
施工管理技士の資格には1級と2級があり、さらに一次検定と二次検定に分かれています。一次検定と二次検定の両方に合格する必要があり、それぞれ試験内容や合格率も異なります。
1級施工管理技士
1級施工管理技士は、大規模な工事の監理技術者や主任技術者として活躍するために必要な資格です。
一次検定:施工管理に関する知識、法規、安全管理など(四肢択一)
二次検定:施工経験、施工管理法、法規など(記述式)
一次検定:43.58%
二次検定:42.59%
1級施工管理技士は、より高度な専門知識と実務経験が求められるため、試験の難易度も高くなります。
特に二次検定では、自身の施工経験を具体的に記述する必要があり、実務経験が豊富なほど有利になります。
2級施工管理技士
2級施工管理技士は、比較的小規模な工事の主任技術者として活躍するために必要な資格です。
二次検定:施工経験、施工管理法、法規など(記述式)
第二次検定:53.81%
二次検定では記述式の問題が出題されるため、正確かつ簡潔に記述することが合格のポイントです。
効果的な勉強方法
施工管理技士試験に合格するためには、効率的な勉強方法を取り入れることが重要です。
勉強方法 | 詳細 |
---|---|
計画的な学習 | 試験日から逆算し、無理のないスケジュールを立てる |
過去問題の活用 | 過去問題を繰り返し解き、出題傾向を把握する |
実務経験の活用 | 実務経験がある場合は、試験勉強に役立てる |
通信講座や講習会の利用 | 独学での学習が難しい場合は、通信講座や講習会を利用する |
施工管理技士の資格を取得するメリット
建設業界において、施工管理技士の資格取得はキャリアアップや収入向上に繋がる重要な要素です。
ここでは、施工管理技士の資格を取得することで得られる具体的なメリットについて解説します。
キャリアアップ・スキルアップにつながる
施工管理技士の資格は、建設現場における専門知識と管理能力を持つことを示す証明となります。 資格取得を通じて、より高度な業務を任される機会が増え、キャリアアップにつながります。
また、学習過程で得られる知識やスキルは実務での専門性が高まり、転職や昇進の際の強みとなるでしょう。
給与・年収アップにつながる
施工管理技士の資格を持つ人は、資格がない人に比べて給与や年収が高い傾向にあります。
特に、1級施工管理技士は、大規模なプロジェクトの監理技術者として活躍できるため、高収入が期待できます。また、資格手当や昇進による給与アップも見込めるでしょう。
独立開業への道が開ける
施工管理技士の資格は、将来的に独立開業を目指す人にも有利に働きます。
建設業法では一定規模以上の工事を行う場合、現場に主任技術者または監理技術者を配置することが義務付けられています。そのため、資格を取得すれば、これらの技術者として独立し、自らの会社を設立することも可能です。
転職活動で有利になる
建設業界では、施工管理技士の資格を持つ人材が常に求められています。資格は、専門知識と能力を証明する強力なアピールポイントとなり、転職活動を有利に進められます。
特に、経験豊富な有資格者は、多くの企業から高く評価され、高待遇での採用も期待できるでしょう。
自分に合った施工管理技士の種類を選んでキャリアアップを目指そう
施工管理技士には7種類の資格があり、自身の経験や将来の目標に応じて適切な資格を選択すれば、キャリアアップにつなげることができます。
まずは「どのような現場で活躍したいか」というビジョンを明確にし、その目標に適した資格の種類や試験内容を把握しましょう。そのうえで、効率的な学習計画を立てて着実に準備を進めることが重要です。
また、建築業界でのスキルアップを目指すなら、経験を積める職場を見つけることも大切です。 「ベスキャリ建設」 では、建設業界に精通したアドバイザーがキャリア相談をご提供しております。
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