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建設業界の市場規模と動向【世界・日本】現状の課題と今後の展望

更新:2025-10-24

建設業界の市場規模と動向【世界・日本】現状の課題と今後の展望

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建設業界は国内外で大きな転換期を迎えています。日本の市場規模は75兆円規模に回復基調を見せ、アジア・アフリカを中心とした世界のインフラ需要も拡大しています。

その反面、人材不足や建設コストの上昇、環境対応などの課題も抱えています。

この記事では、国土交通省や建設経済研究所が公表する最新データをもとに、建設業界の市場の規模と動向をわかりやすく解説します。

さらに、建設業界が直面する課題とその解決策、今後の展望までまとめたため、どこにビジネスやキャリアのチャンスがあるかを明確化することができるでしょう。

出典:最近の建設業を巡る状況|国土交通省について
出典:数字で教えて!世界の建設市場Q&A|国土交通省

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世界の建設市場の動向と見通し【2025年最新】

建設業界の市場

ここでは、世界の建設市場の最新動向を整理します。アジアに集中する巨大なインフラ需要や、今後急成長が予測されるアフリカの市場、そして欧米の成熟した投資構造まで、地域ごとの特徴について詳しく紹介します。

出典:最近の建設業を巡る状況|国土交通省について
出典:数字で教えて!世界の建設市場Q&A|国土交通省

【2025年】建設業界は今後10年でどう変わる?需要予測、動向と将来性

市場規模の全体像

世界の建設市場は拡大傾向が続いており、特にアジア圏が世界全体のインフラ需要の50%以上を占めています。

人口増加や都市化、エネルギー需要の高まりを背景に、住宅や交通網など幅広い分野での投資が加速しています。日本企業にとっても、地理的に近く文化的親和性があるアジアは重要な市場といえます。

地域別の成長性

今後の伸びが特に期待されるのはアフリカです。

建設経済研究所の試算では、2007年から2040年にかけてインフラ需要が3倍以上に拡大する見込みであり、道路・鉄道・水道など生活基盤の整備ニーズが急速に高まるとされています。

一方、欧米諸国は成熟市場であり、新規建設よりも既存インフラの維持・修繕への投資が中心です。

出典:建設経済レポート(アーカイブ)|一般財団法人建設経済研究所
出典:令和7年度(2025年度)建設投資見通し - 報道発表資料

日本における建設業界の海外展開

海外での活躍

ここでは、日本の建設企業が世界でどのように活躍しているのかをご紹介します。

最新の海外受注実績をもとに、工事の内訳や地域別の特徴を整理し、日本の技術力が求められている市場についてまとめました。

海外受注実績の内訳

一般社団法人 海外建設協会(OCAJI)の調査によると、日本企業が海外で受注するプロジェクトの約7割は建築系工事が占めています。

商業施設やオフィスビル、住宅開発など、都市インフラに直結する案件が中心であり、アジアをはじめとする新興国での都市化需要に対応していることがわかります。

【アジア】受注額・件数ともに全体の50%以上がアジアに集中

アジアは日本企業にとって最大の市場であり、受注額・件数ともに全体の50%以上を占めています

地理的な近さに加え、経済成長や人口増加により需要が継続的に拡大しているため、今後も安定した受注が見込まれるエリアです。

【北米】受注件数はアジアの約1/6

北米での受注件数はアジアに比べて約1/6程度と少ないものの、1件あたりの平均受注額はアジアの倍以上に達します。

案件規模が大きいことから、高い技術力と資本力を持つ企業が参入しており、日本企業のプレゼンス拡大にも大きなチャンスがあります。

【アフリカ】1件あたりの平均受注額は北米を上回る約33億円

アフリカは件数こそ多くはないものの、1件あたりの平均受注額は約33億円と北米を上回る高単価市場です。

道路や鉄道、エネルギー設備など基盤整備の需要が増大しており、今後の成長余地が大きい新興市場として注目されています。

日本の建設市場の動向と投資額

日本の建設市場の動向

ここでは、日本国内の建設投資の推移と直近の見通しを整理します。過去のピークや低迷期を経て、震災復興や都市再開発により市場は再び拡大傾向にあります。

最新データを基に、投資の内訳や地域ごとの特徴をまとめたのでぜひチェックしてみてくださいね。

建設投資の推移

日本の建設投資は1992年度に84兆円でピークを迎えましたが、その後は減少を続け、2010年度にはピーク時の半分程度に縮小しました。

その後は復興需要や民間投資の回復により持ち直しています。

建設投資額の推移概要
  • ✓ 1992年度:84兆円(ピーク)
  • ✓ 2010年度:約42兆円(ピーク時の50%)
  • ✓ 2024年度:73兆円(回復基調)

※本項の金額は名目値(出来高ベース)の参考値です。四捨五入のため差異が生じる場合があります。1992・2010年度は実績、2024年度は見込み。 

2025年度 建設投資の見通し(令和7年度)

2025年度の建設投資は、引き続き拡大基調にあります。総額では75兆5,700億円に達する見通しで、民間投資が大きく伸びて市場をけん引しています。

一方で政府投資は横ばいとなり、公共事業の新規拡大よりも既存インフラの維持管理が中心です。

2024年度 建設投資額の内訳
  • ✓ 総額:75兆5,700億円(前年比 +3.2%)
  • ✓ 政府投資:25兆2,100億円(前年比 +0.7%)
  • ✓ 民間投資:50兆3,600億円(前年比 +4.5%)

この数値は、民間需要が国内の建設市場を押し上げていることを示しています。特に企業の設備投資や都市部の再開発が目立ち、建設業界の中長期的な成長に直結する動きとなっています。

投資額の内訳(名目値)

建設投資の内訳をさらに分解すると、民間部門が全体の約67%を占め、その中でも非住宅建設の伸びが顕著です。

住宅や改修工事も安定的に推移しており、需要の幅広さが確認できます。

区分 投資額(億円) 前年度比 構成比
総計 755,700 +3.2% 100%
政府投資 252,100 +0.7% 33%
民間投資 503,600 +4.5% 67%
┗ 民間住宅建築投資 167,800 +1.1% 約22%
┗ 民間非住宅建設投資 209,500 +8.7% 約28%
┗ 民間建築補修(改装・改修)投資 126,300 +2.5% 約17%

出典:令和7年度(2025年度)建設投資見通し - 報道発表資料

この結果から、今後も建設市場は民間主導の傾向が続くと予測されます。

特に非住宅分野では物流施設やオフィス開発が増加しており、都市再開発の加速とともに大規模投資が進んでいます。

建設投資の内訳

投資を工事別にみると、建築分野が65.1%を占め、土木分野の34.9%を大きく上回っています。これは、民間投資の大半が住宅や商業施設などの建築に集中しているためで、都市開発やリフォーム需要の高さが背景にあります。

建設投資の特徴
  • ✓ 民間投資 → 建築工事が中心(住宅・商業施設など)
  • ✓ 政府投資 → 土木工事が中心(道路・橋梁・インフラなど)

上記のとおり、建築分野の拡大は建設業界の活性化に直結しており、一方で政府が担う土木投資は社会インフラを支える重要な役割を果たしています。分野ごとのバランスが市場の安定性を左右しているといえるでしょう。

地域別の変化

建設投資は地域ごとにも大きな変化が見られます。

震災復興や都市再開発といった要因が、各地域の構成比率を左右してきました。特に東北と関東は全国的にも注目度の高いエリアとなっています。

地域別の建設投資動向
  • ✓ 東北地方:2011年以降、震災復興需要で比率上昇
  • ✓ 関東地方:2017年以降、東京五輪関連施設や再開発で比率拡大
  • ✓ 地方圏:公共投資抑制の影響で縮小傾向

このように、災害対応やイベント需要が地域投資を押し上げるケースも多く、今後は脱炭素関連や地方再生プロジェクトが新たな投資拡大の原動力になると考えられます。

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【建設業界の動向】維持修繕工事と協力施工体制の変化

ここでは、建設市場における維持修繕工事と施工体制の最新動向について解説します。

老朽化する社会資本の補修や更新需要が拡大する一方、受注構造の規模も拡大し、ストック型社会への移行が市場を押し広げています。

維持修繕工事の増加

建設工事全体の中で維持修繕工事の比率は年々上昇しています。2023年度の維持修繕工事高は 28.8兆円 に達し、施工高全体の約 32%を占めるまでになりました。

維持修繕工事の特徴
  • ✓ ストック型社会の進展により増加傾向
  • ✓ 非住宅建築や設備更新の需要が中心
  • ✓ 民間工事が全体の約7割を占める

 

施工体制別の完成工事高の増加

施工体制における協力会社の役割も拡大しています。2000年代は縮小傾向でしたが、2010年度を底に回復し、2023年度には58.5兆円まで増加しました。
 

年度 完成工事高 備考
2010年度 約40兆円 ボトム期
2023年度 58.5兆円 増加傾向が続く
建設業における協力企業の役割
  • ✓ 元請企業だけでなく、複数階層の協力企業が施工を支える
  • ✓ 中小建設業者の安定的な経営基盤に直結

ストック型社会に向けた市場の広がり

新設工事中心だった市場は、既存ストックの維持・更新を重視する「ストック型社会」へと変化しています。

これにより、改修・補修分野の需要が長期的に見込まれ、建設業界にとって安定的な収益基盤となりつつあります。

今後の建設需要を支える要素
  • ✓ インフラ老朽化対策の本格化
  • ✓ 長寿命化計画や再生可能エネルギー設備への投資
  • ✓ 建築設備・リフォーム需要の増大

日本の建設業界が直面する課題

建設業界が抱える課題

ここでは、日本の建設業界が現在直面している主要な課題について解説します。

人材不足やコスト上昇といった構造的問題に加え、海外企業との競争やサステナビリティ対応など、国際的な潮流も軽視できない状況となっています。

人材不足・高齢化

建設業界では、技能者の高齢化と若手人材の不足が深刻化しています。

特に現場技能者の平均年齢は40代後半に達しており、2025年以降は大量退職による人手不足が懸念されます。

一方で、若手が業界に参入しづらい背景には、長時間労働や休日の少なさといった労働環境の問題があります。

建設業の人材課題と解決策
  • ✓ 技能者の高齢化:平均年齢が上昇
  • ✓ 若手の入職減少:労働環境・イメージの課題
  • ✓ 週休2日制の導入やICT施工による省力化が解決策

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建設コストの上昇(資材・人件費)

建設資材価格の高騰と人件費の上昇は、建設業界全体の利益圧迫要因となっています。

ウクライナ情勢などによる原材料価格の変動や円安の影響も加わり、鉄鋼・木材・セメントといった基礎資材の価格は安定していません。

加えて人材不足により人件費も上昇し、事業者にとってコスト管理が大きな課題となっています。
 

建設コスト上昇の影響例
  • ✓ 資材価格の高騰:鉄鋼・木材・セメント
  • ✓ 円安や国際情勢によるコスト増
  • ✓ 人件費上昇:技能者不足が背景

海外企業との競争激化

グローバル市場における競争も激化しています。特にアジアやアフリカでは中国や韓国の企業が積極的に参入し、価格競争や大型案件の獲得で日本企業にとって脅威となっています。

日本は高品質や安全性で優位性を持つ一方、コスト面やスピードでは後れをとる場面も見られます。

建設業の国際競争と課題の背景
  • ✓ 新興国企業の積極的な海外展開
  • ✓ 低価格入札による競争激化
  • ✓ 日本の強み:高い技術力・品質・安全性

サステナビリティ・環境対応

脱炭素社会の実現に向けて、建設業界にも環境対応が求められています。

省エネルギー建築、再生可能エネルギー設備、資材のリサイクルといった取り組みは必須であり、これらに対応できない企業は競争力がやや劣る可能性があります。

国際的なESG投資の流れもあり、持続可能性は今後の企業成長のカギを握っていると言えるでしょう。

環境対応の方向性
  • ✓ ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)や省エネ建築の推進
  • ✓ 建設資材の循環利用
  • ✓ 環境基準や国際規格への対応強化

日本の建設業界における課題解決に向けた取り組みと展望

建設業界の取り組み

ここでは、日本の建設業界が直面する課題に対して、どのような解決策を模索しているのかを解説します。

デジタル化や人材育成といった現場改革から、海外展開や環境対応まで、多角的な取り組みが進んでいます。

【デジタル化】ICT施工(i-Construction)BIM/CIM

国土交通省が推進する「i-Construction」をはじめ、BIM/CIMなどのICT施工は、生産性向上の切り札とされています。

これらの技術を活用することで、測量・設計・施工・維持管理までを一元化し、工期短縮やコスト削減が可能になります。

ICT施工により期待できる効果
  • ✓ 測量・設計の3D化による効率化
  • ✓ 品質の均一化と施工精度向上
  • ✓ 人材不足を補う省力化

ICT施工とは?定義や目的、導入の流れ、メリット・デメリットについて解説

 

【海外戦略の多様化】アフリカや新興国への参入

日本企業はアジアを中心に海外展開を進めてきましたが、近年はアフリカや中東など新興市場への参入も拡大しています。

特にアフリカではインフラ需要の急増が見込まれており、日本の高品質な技術力が求められています。

日本企業の海外展開の取り組み例
  • ✓ アジアに加えアフリカ・中東市場を開拓
  • ✓ JICAや国際機関との連携プロジェクト
  • ✓ 建築系だけでなくエネルギー・交通分野への拡張

【人材育成・働き方改革】週休2日化、技能者育成

人材不足解消に向け、業界全体で労働環境の改善と人材育成が進められています。

週休2日制の導入や残業削減といった取り組みが拡大しており、若年層の入職促進につながることが期待されます。

建設業界の主な人材施策
  • ✓ 週休2日制導入による働き方改革
  • ✓ 技能者教育・資格取得支援
  • ✓ 女性や外国人材の活用促進

建設業の週休2日制、現場への影響は?義務化におけるメリット・課題・給料の変化について徹底解説

 

【サステナブル建設】省エネ建築・再エネインフラ

脱炭素社会の実現に向けたサステナブル建設も重要なテーマです。

ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)や省エネ住宅の普及に加え、再生可能エネルギー設備の整備も進んでいます。企業がESG投資に対応するためにも、環境対応は不可欠です。

今後注目される建設分野
  • ✓ ZEB・省エネ住宅の普及
  • ✓ 再生可能エネルギー関連インフラ整備
  • ✓ 建設資材のリサイクル・循環型利用

建設業界の市場規模に関連するよくある質問

ここでは、建設業界の市場規模に関するよくある質問に対して、Q&A形式でまとめました。

日本国内の規模から世界市場との比較、関連業界の市場まで、公式統計や調査データに基づいて解説するので、気になる項目があればぜひチェックしてみてください。

日本の建設市場規模は?

日本の建設市場は国土交通省「建設投資見通し」によると、2025年度は75.6兆円(前年比+3.2%)と見込まれています

1992年度の84兆円をピークに縮小した後、震災復興や都市再開発を契機に回復傾向が続いています。

内訳は政府投資が約33%、民間投資が約67%で、特に非住宅分野や改修工事が成長を支えています。

出典:令和7年度(2025年度)建設投資見通し - 報道発表資料

世界の建設市場における日本の位置は?

建設経済研究所によると、世界の建設需要の半分以上はアジアに集中しており、中国・米国・インドが最大規模を占めます

日本は依然として上位に位置しますが、人口減少と国内需要の鈍化が背景にあり、海外展開の重要性が増しています。

特にアジアやアフリカ市場における技術力の需要は高く、日本企業にとって新たな成長の場となっています。

建材業界の市場規模は?

建材業界は建設需要を支える重要分野ですが、正確な数値は品目ごとに異なります

矢野経済研究所の調査では、住宅建材市場(仕上げ材・設備材など主要6分野)は2023年度で約1.55兆円規模とされ、環境対応建材や高断熱材の需要が伸びています。

資材価格は国際情勢や為替の影響を受けやすく、建設コストに直結するため注意が必要です。

出典:住宅建材市場に関する調査を実施(2024年) | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

建築設計業界の市場規模は?

建築設計業界の市場規模については明確な公的統計が存在せず、民間調査に依存しています。

建設経済研究所などの推計では、数兆円規模で推移しているとされ、大型再開発や公共施設プロジェクトに左右される傾向があります。

今後はBIMの普及やデジタル設計の進展により、効率性と付加価値の向上が期待されています。

まとめ

本記事では、世界と日本の建設市場の最新動向を整理し、直面する課題と今後の解決策を解説しました。

世界ではアジア・アフリカを中心にインフラ需要が拡大しており、日本企業にとっては大きなビジネスチャンスが広がっています。

一方で、人材不足やコスト上昇、環境対応などの課題も顕在化しています。 これらに対応するためには、デジタル化による生産性向上、働き方改革や人材育成、そしてサステナブル建設への移行が不可欠です。

建設業界は大きな転換期を迎えており、変化に適応できる企業や人材が将来の成長をリードする存在となるでしょう。

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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