建設業界で働く中で「施工管理職が勤められるホワイト企業は本当にあるの?」「どうやって見分ければいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
施工管理の仕事は忙しいというイメージがありますが、近年では週休2日制の導入や残業時間の削減など、働き方改革が進んでいます。とはいえ、すべての企業が働きやすいとは限らず、見極めが難しいと思う方もいるかもしれません。
そこで本記事では、施工管理職におけるホワイト企業の定義や特徴、見分け方についてわかりやすく解説します。建設業界で転職を検討している方や、働き方を見直したい方はぜひ参考にしてください。
施工管理のホワイト企業ランキングTOP3
本ランキングでは、社員・元社員による口コミサイト「OpenWork」に掲載された評価をもとに、「施工管理(建築)」職種での総合評価が高かった企業上位3社をご紹介します。
働きやすさや待遇、成長環境などの指標を総合的に評価しており、施工管理職としてホワイトな環境が期待できる企業を探す際の参考になります。
ただし、あくまで個人の主観に基づく口コミ評価であり、すべての社員にとって同様の環境とは限りません。企業選びの際は、仕事内容や勤務地、キャリアパスなども含めて総合的に判断することをおすすめします。
順位 | 企業名 | 総合評価 | 業種 | 企業概要 |
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1位 | 日鉄エンジニアリング株式会社 | 4.43 | 重電、プラント、エネルギー設備 | 日本製鉄グループの企業。製鉄設備、廃棄物処理、エネルギー施設、都市インフラの設計・建設などを手がける。 |
2位 | 株式会社遊楽 | 4.26 | レジャー、遊技場運営 | 埼玉県に本社を構えるレジャー施設運営企業で、首都圏に多数のアミューズメント店舗を展開。店舗の新規出店や改装にともなう「内装・設備のデザイン」「施工管理」「保守」などを担当する専門部門があり、 現在も建築・内装分野の施工管理職を積極的に募集している。 |
3位 | 株式会社フロンティアコンサルティング(建築) | 4.21 | 建築設計、設備工事 | 東京都に本社を置く建築設計会社。ワークプレイスの設計・施工や、ビル再構築、働き方提案を行う。 |
※株式会社遊楽は建設業界の専業企業ではありませんが、自社施設の新築・改装に関連する建築施工管理の求人があるため、本ランキングに含めています。
施工管理にホワイト企業はある?ブラックな職場が多い?
「施工管理=ブラック」というイメージがあるかもしれませんが、実際には働きやすさを重視するホワイト企業も増えてきています。 ただし、依然として長時間労働や休日出勤が多い企業もあるため、就職や転職する際には、企業選びを慎重に行わなければなりません。
施工管理職におけるホワイト企業では、残業時間の削減や有給取得の推進、工程管理ツールの導入などを通じて、働きやすい環境づくりが進められています。
さらに、資格取得支援制度や教育体制の整備、安全管理の徹底といった従業員の働きやすさに重きを置く企業も増えてきました。 ブラックな職場環境を避けるためにも、求人情報だけでなく、働く人の声や福利厚生制度などもチェックしながら、自分に合った企業を見極めることが大切です。
施工管理にホワイト企業が少ないと言われる理由
施工管理は、長時間労働や休日出勤が多いイメージから「ブラックな職種」といわれることがあります。
工事全体を統括する施工管理者には、現場の進行状況に応じた柔軟な対応が求められます。そのため、工程の遅れやトラブルが発生した際には、早朝や深夜、休日に出勤が必要となる場合もあるのです。
さらに、人手不足による業務過多に加え、安全管理・品質管理・書類対応などの多岐にわたる業務が負担だと感じる人もいるでしょう。
また、土日祝日も工事を進める現場の場合、連休が取りにくく、プライベートの予定が立てづらいという声も挙がっています。
こうした背景から、「施工管理=ホワイトではない」というイメージが定着しているようです。
施工管理におけるホワイト企業の定義
施工管理職におけるホワイト企業には明確な定義はありませんが、「残業が少ない」「福利厚生が充実している」「離職率が低い」などの特徴を持つ企業がホワイト企業として認められる傾向があります。
従業員が安心して働けるように、労働環境や待遇の改善に力を入れている企業を指します。 残業時間の削減に加え、休日の確保、健康診断・ストレスチェックの実施といった制度面の整備や安全対策を徹底していることが特徴です。
ホワイト企業では、従業員の労働環境への整備に対する意識が高いため、上司に悩みを相談しやすかったり、有休を取得しやすかったりといった特徴も見られます。
基本給に加えて住宅手当や育児・介護支援などの福利厚生が充実していることもホワイト企業で働くメリットの1つです。 現場では、工程管理ツールの導入により、残業や休日出勤の状況を「見える化」し、長時間労働の抑制に取り組む企業も増えています。
さらに、ヘルメット着用の徹底やKY(危険予知)活動の実施など、安全対策への意識が高いことも、ホワイト企業の大きな特徴です。 また、施工管理技士などの資格取得支援や、外部セミナー参加費の補助制度など、キャリアアップを後押しする仕組みが整っている点もホワイト企業ならではの魅力です。
【施工管理者必見】建設業ではホワイト企業が増えている
出典:今求められる - 建設工事の効率化による 働き方改革の実現とは
建設業界では、長時間労働や休日取得の難しさといった労働環境の課題が、国土交通省や労働組合、業界団体などから長年にわたって指摘されてきました。
しかし現在は、国の働き方改革の推進や企業の取り組みによって、労働環境の改善が進みつつあります。
ここでは、建設業界における働き方の変化と、ホワイト企業が増えている背景について解説します。
労働時間の削減と週休2日制を導入
建設業界では働き方改革が進んでおり、週休2日制の導入が広がりつつあります。国が発注する直轄工事では、すでにすべての現場で週休2日制が実施されています。都道府県や市区町村が発注する工事においても、令和6年度から原則すべての案件で週休2日を目指す方針が進められているのです。
さらに、国は工事期間の設定方法にも新たなルールを導入し、猛暑などで作業が困難な日をあらかじめ「延長の対象」として認める制度を整備しました。
こうした取り組みの結果、年間の労働時間は平成26年の約2,128時間から、令和4年には約2,022時間まで減少しています。とはいえ、他業種と比較すると依然として平均より約68時間長く、課題は残されています。
工期改善で現場の負担を軽減
建設業法第19条の5の改正により、注文者は「著しく短い工期」での請負契約を締結することができなくなりました。短すぎる工期は長時間労働や過密なスケジュールを招き、働き方改革の流れに逆行するためです。
在では、無理のない工期設定と工程管理の徹底によって残業の抑制が図られ、安全性と品質の両立を目指す取り組みが業界全体に広がっています。 さらに、国土交通省が発注者に対し、適正な工期設定を求めていることも、現場の働きやすさの向上につながっています。
また、監理技術者の配置要件が緩和されたことで、技術者の負担軽減や人材の有効活用が可能になり、限られた人材リソースの中でも安定した施工体制を築きやすくなりました。
ICT・IoTの活用で業務を効率化
建設業界では、ICTやIoT技術の導入が進み、先進的な取り組みを行う企業も増えてきました。一例として公共工事では発注者の共通仕様が見直されたことにより、申請手続きや工事書類作成にかかる負担が軽減されています。
技術者の高齢化や人手不足に対応するため、オンラインでの現場管理における体制の整備や、ICT施工機械の導入を支援する補助金制度の拡充も進められています。 このように、建設現場のデジタル化が推進されることにより、作業負担の軽減や業務の効率化を実現した企業も増えてきました。
こうした取り組みは、工事の品質維持にもつながるため、発注者との信頼関係の構築にも良い影響を与えるでしょう。
施工管理者向け!ホワイト企業の特徴と見極め方
施工管理職にとって「ホワイト企業」とは、どのような特徴を備えた企業なのでしょうか。
ここでは、施工管理者が「働きやすい」と感じる企業に共通するポイントについて解説します。この章を読むことで、ホワイト企業を見極める際のコツを押さえられるでしょう。
従業員の健康を経営指標としている
施工管理職を募集するホワイト企業では、従業員の健康を重視し、それを経営の重要な指標と位置づけています。具体的には、定期健康診断やストレスチェックの実施に加え、産業医やカウンセラーとの連携体制を整備している企業も見られます。
過重労働を防ぐために労働時間の管理を徹底し、メンタルヘルス対策や休暇取得の推進に取り組んでいるケースもあるでしょう。 こうした取り組みは、従業員の安心感や仕事への意欲向上につながり、結果として離職率の低下や定着率向上にも良い影響を与えるはずです。
求人票や企業ホームページで、健康経営に関する方針や取り組み事例を確認しておくと、働きやすい職場かどうかを見極める手がかりになるでしょう。
残業時間・休日数などの情報を開示している
施工管理職を募集するホワイト企業では、選考の段階から「残業時間」「休日数」「配属先」「担当工事の規模や工期」などについて、数字や具体的な事例を交えて丁寧に開示しています。 こうした情報開示は、入社後のギャップを防ぎ、長期的に活躍してもらいたいという企業側の姿勢の表れだと言えます。
たとえば、「残業は月20時間以内」「年間休日120日」など、具体的な条件が明示されていれば、働くイメージを描きやすくなり、ミスマッチによる早期離職の防止にもつながるでしょう。
一方で、「残業少なめ」「多彩な現場で活躍」といった曖昧な表現しかない求人には注意が必要です。具体的な支援体制や業務内容を示していない企業は、長時間労働や人手不足など、労働環境に課題を抱えている可能性もあるため、慎重に見極めなければなりません。
従業員が企業に対して貢献する意欲を持っている
社内に風通しの良い雰囲気があり、公正な評価制度が適切に運用されている企業では、社員の意欲が高まります。結果として、離職率の低下や定着率の向上が期待できます。 具体的には、社員を表彰する制度が整っていたり、上司や経営陣と円滑なコミュニケーションを図れる企業では、社員の意欲がより高まりやすい傾向にあります。
こうした制度や風土をチェックすることで、職場の雰囲気も具体的に把握しやすくなるでしょう。 企業文化を見極める方法として、就職活動中はインターンシップやOB・OG訪問の活用がおすすめです。転職活動中であれば、面接時の質問や転職エージェントへのヒアリングを通して確認できる場合があります。
あわせて、離職率や平均勤続年数といった客観的なデータもチェックすることで、企業の実態をより正確に把握できるでしょう。
施工管理者がホワイト企業への転職を成功させるコツ
施工管理職への転職では、求人情報だけでは企業の実態を把握しきれないこともあります。 ブラック企業を避けるためには、労働環境や評価制度など、実際の働き方について事前に情報収集しておくことが重要です。 ここでは、施工管理者がホワイト企業への転職を成功させるコツについて解説します。
業界研究をする
施工管理の仕事には、再開発やプラント建設、設備工事、住宅建築などさまざまな分野があり、それぞれ仕事内容や働く環境が異なります。そのため、まずは自分に合った分野を見つけるために、業界の特徴をよく調べることが大切です。たとえば、公共工事やインフラ整備を手がける企業は景気変動の影響が小さい一方で、年度末などに繁忙期が集中し、閑散期とのメリハリが大きい点が特徴です。
また、高速道路の夜間補修や商業施設の改修工事など、分野によっては深夜作業が避けられないケースもあります。
このように、分野ごとに働き方や繁忙期、勤務時間帯が大きく異なるため、業界全体の特性を理解しておくことが大切です。
自分の生活リズムやキャリアプランに合った分野を選ぶことで、転職後に理想的な働き方を実現できる可能性が高まります。
企業規模だけで判断しない
企業規模にとらわれず、自分に合った環境を広く探すことが転職成功のカギです。建設業界では、中堅・中小企業でも働きやすい職場づくりに力を入れているケースが増えています。 具体的には、適正工期を守る体制が整っていたり、ICTを活用して現場管理を効率化している企業も多いです。
一方、大手企業であっても、現場によっては長時間労働が常態化している場合もあるため、規模だけで判断するのは危険です。求人情報だけでなく、企業口コミサイトやエージェントを活用して実態を多角的に調べることが大切だと言えるでしょう。
職種を絞りすぎない
職種を柔軟に検討することで、希望に合う求人に出会う確率が高まります。施工管理職と一口に言っても、扱う建物や工事内容によって求められるスキルや働き方は大きく異なります。
建築施工管理の経験者であれば、マンション新築工事だけでなく、公共施設の改修やテナントの内装工事にもスムーズに応用できる可能性が高いです。
現場の種類によって、日勤中心・夜勤中心、少人数現場・大規模現場など、勤務スタイルも変わります。自分の強みを活かせるフィールドを広げる意識を持つことで、より良い選択肢を見つけやすくなるでしょう。
施工管理職の働き方に関するよくある質問
「建設業界=ハードワーク」というイメージが定着しているため、不安に感じる点もあるでしょう。ここでは、施工管理職の働き方に関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答します。
施工管理という働き方に興味があるものの、実態が良く分からず不安に感じている方は、ぜひこの章をチェックして疑問や不安を払拭しましょう。
施工管理の何がやばいですか?
施工管理が「やばい」と言われる理由として、長時間労働や休日出勤の多さ、現場対応のプレッシャーなどが挙げられます。 施工管理者は、工期・品質・安全を管理する立場のため、トラブルがあれば迅速かつ的確な対応が求められます。工程の遅れや資材の手配ミス、事故が起きた場合には責任を問われることもあるでしょう。
また、真夏や真冬の過酷な環境下での業務や、人手不足によって一人あたりの業務量が多いことも「施工管理がやばい」といわれる理由として考えられます。ブラック企業では評価制度が不透明といった問題もあり、こうした背景から「やばい」と感じる人が存在するようです。
出典:建築施工管理技術者 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
施工管理職におけるブラック企業の特徴は?
施工管理職におけるブラック企業の特徴として、長時間労働や休日出勤が常態化していることなどが挙げられます。 また、「評価制度が不透明で努力が報われない」「離職率が高く常に求人を出している企業」も要注意だと言えるでしょう。
企業のHPや求人票だけでは、ブラックであるかどうかを見極めきれないため、離職率や従業員の平均勤続年数を確認したり、元社員や社員が掲載する口コミサイトでリアルな評価をチェックすることが大切です。
施工管理が「きつい」「不人気」と言われる理由は?
施工管理が「きつい」「不人気」と言われる理由として、長時間労働や休日の取りづらさ、現場対応のプレッシャーの大きさなどが挙げられます。施工管理職は、現場全体を統括するリーダー的な役割を担い、設計者や発注者などさまざまな関係者と連携しながら、工事を円滑に進める必要があります。そのため、コミュニケーション力や調整力も欠かせません。
また、建築施工管理技士などの国家資格を取得するには、実務経験が求められるうえ、働きながら勉強を続ける努力も必要です。こうした背景から、一部では施工管理はきつい、不人気といったネガティブなワードが散見されるのかもしれません。
建設業界でホワイトな働き方を実現しやすい職種は?
設計職や人事・総務といった内勤業務は、建設業界の中でも比較的ホワイトな働き方を実現しやすいと言われています。ただし、実際の労働環境は、企業の制度や風土、職場の雰囲気によって大きく異なります。 職種のイメージだけで判断せず、実際の働きやすさを確認することが大切です。
残業時間の管理体制や休暇の取りやすさ、評価基準の明確さなど、企業の具体的な取り組みを確認すると良いでしょう。 「月間の残業時間はどのくらいか」「メンタルケア制度はあるか」などを確認してみてください。企業が公開している数値と、実際の社員の声を照らし合わせて、総合的に判断することがミスマッチを防ぐポイントです。
施工管理者の転職先として選ばれる大手企業はどこですか?
施工管理職の就職先としては、鹿島建設・清水建設・大林組などの大手ゼネコンがよく挙げられます。実際に、大手企業では福利厚生が充実しており、働き方改革が進んでいる傾向があります。 しかし、大手ゼネコンだけでなく、中堅ゼネコンやサブコン、地域密着型の建設会社などでも従業員の労働環境の整備に重きを置いている会社は多くあります。
具体的には、残業月20時間以内、有休取得率80%以上といった働きやすい環境を整えている企業も多いため、企業規模や売上高だけで判断するのではなく、自分に合った社風や制度が整っているかを見極めることが重要です。 求人票に加え、面接や企業説明会の場で具体的な働き方について確認しておきましょう。
まとめ
建設業界では、週休2日制の導入や適正な工期管理、安全衛生対策の強化など、働き方改革が進められており、施工管理職の労働環境も少しずつ改善されています。 ただし、こうした取り組みの進み具合や質には企業ごとに差があるため、転職を検討する際は、実際の残業時間や評価制度の内容を事前に確認しておくことが重要です。
「社員の声を反映する仕組みがあるか」「制度の詳細が公式サイトなどに明記されているか」といったポイントをチェックすることで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。
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