現場監督という仕事は、工事現場での指導監督やスケジュール管理に加え、お金の管理という重要な任務があります。
決められた予算内で建物を完成させるだけでなく、いかに多くの利益を残せるかが現場監督の腕の見せ所です。
そこで、現場監督が行うお金の管理、「現場管理費」に含まれる専門用語を解説します。
■現場監督をするうえで重要な「現場管理費」
なぜ現場管理費の仕事が必要なのかというと、工事費の採算がわかりにくいためです。
そもそも工事現場の費用は、1つずつの項目を積み重ねることで全体の工事費を算出します。
工事費の内訳は「工事価格・消費税等相当額」→「工事原価・一般管理費等」→「純工事費・現場管理費」と順を追って細分化するのが基本です。
ご覧の通り、現場管理費はあくまでも全体の工事費の1項目に過ぎません。
しかし、工程管理や品質管理、安全管理といった、工事現場の管理に必要な費用と位置付けているのです。
■現場監督は知っておきたい「現場管理費」の用語
工事現場の管理に欠かせない現場管理費の中で、現場監督が知っておくべき重要度の高い7項目の概要を紹介します。
◇工程表
工程表とは、施工の順序を時系列にまとめる図のことです。着工から完成までの全体的な施工を示す「総合工程表」、施工内容を月単位に区分する「月間工程表」、週単位に細分化する「週間工程表」も含まれます。
工程表の表示方法は、「バーチャート」と「ネットワーク工程」の2種類です。バーチャートは縦軸に作業項目、横軸に日時を組み、どの工程をいつ作業するかが一目でわかるのが特徴です。一方、ネットワーク工程とは、各工事を丸印と矢印で関連付けを行い、全体の工程の流れを明確にする手法です。
◇公示価格(工事費)
工事価格は、主に工事を進めるうえで必要なお金のことを指します。工事価格は「価格・費用・水準」に分類され、それぞれで意味合いが以下のように異なります。
・工事価格における価格…特定の建設工事の発注者と、工事の請負業者との間で交わす請負契約書価格
・工事価格における費用…特定の建設工事の請負業者が行う工事費用、または建設工事における各工事の金額
・工事価格における水準…特定の建設市場の価格や費用の水準
◇一般管理費(工業価格)
一般管理費は冒頭に紹介した工事費の1種で、人件費、建物の減価償却費、租税公課、通信費などの諸経費のことです。一般管理費と工事原価を合計したものが、消費税等相当額を除いた工事価格になります。一般管理費の内容次第で工事価格を抑えられるため、最安値で落札される公共工事の入札に影響を及ぼします。
◇現場管理費(工事価格)
現場管理費は、工事価格を算出する「工事原価」に含まれる項目で、具体的な内訳は以下のものが挙げられます。
・作業員や社員の給与、退職金
・賃金以外で作業員にかかる費用や求人広告費
・安全管理や安全訓練等にかかる費用
・固定資産税などの租税公課、工事保険などの保険料
・健康保険や厚生年金保険、労災保険などの法定福利費
・福利厚生費や通信交通費、交際費、事務用品費などの一般的な費用
・外注経費、騒音や振動に対する補填費
このように、現場管理費といってもさまざまな費用が存在します。工事費を構成する工事原価に直結するため、現場監督はこれらの費用をすべて覚えることが大切です。
◇純工事費(工事原価)
純工事費は工事原価を構成する費用の1つで、現場管理費との合計が工事原価になります。純工事費の内訳は、共通仮設費と直接工事費の2つです。
◇共通仮設費
純工事費に含まれる共通仮設費は仮設工事費の1つで、建物の建設に関係しないが工事に必要な費用のことです。たとえば、仮設の工事事務所の建設費用、工事用電力や給排水の設備などが挙げられます。
◇直接工事費
純工事費を構成する直接工事費は、工事を進めるうえで直接必要な費用を指します。具体的な費用は、資材などの材料費、作業員や社員の人件費(労務費)、水道光熱費などの直接費用の3種類です。