建設業界ではじめて働く場合、専門用語を覚えることも仕事の1つです。基礎工事は建物を建てる前に行う、建設工事をはじめるうえで欠かせない工事です。今回は、新人が知っておきたい、基礎工事の専門用語について解説していきます。
■基礎工事の目的は?
基礎工事とは、建物の基礎を作るための工事です。日本は複数のプレートの上に位置することで地震が多く、大半の主要都市は沖積層という比較的新しい軟弱な地層にあります。
日本では重量のある大規模な構造物を支えるために、固い地盤まで杭を打つ基礎工事が用いられているのです。また、地盤が軟弱な土地の場合、地盤を改良する工事をする場合もあります。
小規模な住宅における基礎工事の種類は、ベタ基礎、布基礎、独立基礎などがあります。次の章ではこれらの基礎工事の概要と、基礎工事に関連する専門用語を紹介します。
■新人なら知っておきたい基礎工事の専門用語
新人が知っておくと役立つ、基礎工事に関連する代表的な専門用語は以下のものが挙げられます。
◇ベタ基礎
ベタ基礎とは、鉄筋を入れた土台部分にコンクリートを流し、大きな面で家の重量を支える基礎工事です。面にすると荷重を分散できるので耐震性が高くなる、施工がしやすいというメリットがあります。一般的な戸建て住宅の基礎工事は、ベタ基礎が多く採用されています。
◇地盤改良
地盤改良とは、地盤沈下や液状化のおそれがある弱い地盤を補強し、住宅が建てられる状態にする工事のことです。住宅を建てる前の地盤調査の結果を踏まえ、必要性を見極めたのちに地盤改良工事をおこないます。
地盤改良工事は、セメントで地表を固める表層改良工法、円柱状の改良杭で建物を支える柱状改良工法、鋼管で地中から建物を支える小口径鋼管杭工法があります。
◇地縄
地縄とは、敷地内で建物を建てる位置に縄を張り、境界(隣地との境)、配置の間違いや残地など確認する工事です。隣地との境界はトラブルに発展するケースが多いため、地縄工事で施主と隣地の持ち主に対し、どのような建物が建つかをイメージしてもらうことに役立ちます。
◇墨出し
墨出しとは、建設現場のあらゆる工事において、実寸の設計図を書く工事のことです。地形の計測から仕上げ工事まで、墨出しはすべての工程に携わります。大規模なビルや特殊な建造物を建てるには、精度(品質)の高い基準墨と基準レベル、設計図通りの正しい位置出しなどが求められます。
◇鉄筋組み
鉄筋組みとは、基礎の強度を高めるため、コンクリートを打ち込む前に鉄筋を配筋する基礎工事の作業を指します。鉄筋組みは基礎の強度を高めるだけなく、コンクリートのクラック(ひび割れ)を防ぐために欠かせない作業です。
◇土壌処理
土壌処理とは、基礎の床下土壌に薬剤を散布し、シロアリが建物に侵入するのを防ぐことです。薬剤は液状のほかに、土壌の水分蒸散を防止する土壌表面皮膜形成タイプやシートを使う場合もあります。
◇盛り土
盛り土とは、低地や斜面を平らにするために、土を盛って造成することです。土地の造成方法は盛り土のほかに、土地を削って造成する切土(きりど)という方法もあります。宅地造成の際は、切土で出た土を盛り土として使い、強度が弱い場合は地盤補強工事を合わせておこなう場合もあります。
◇アンカーボルト
アンカーボルトとは、構造用の部材や設備機器などをコンクリートに固定するネジのことです。設備の転倒や地震対策に役立ちます。
アンカーボルトは役割や仕組みによって種類が別れているため、アンカーボルトの特徴や使い方、材質、ネジの呼び径や全長などを確認しなければなりません。
アンカーボルトはコンクリートを打ち込む前に使うタイプのほかに、凝固したコンクリートに穴を開けて打ち込む、溶接で固定する、ネジを締め付けて固定するなど、さまざまなタイプがあります。