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JV(合同企業体)とは?JVの方式・区分と建設業におけるJVのメリット

更新:2022-05-13

JV(合同企業体)とは?JVの方式・区分と建設業におけるJVのメリット

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建設業で働いている方は、JVという言葉を耳にしたことがあるはずです。JVは共同企業体という意味で、活用目的と施工方法でいくつかの種類に分類されています。建設会社がJVを結成する理由は、会社の利益や施工面など、さまざまなメリットがあるためです。

今回は、JVの概要と区分、JVのメリットについて解説します。

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■JVとは?

JVとはjoint venture(ジョイントベンチャー)の略称で、共同企業体を指します。建設業においては、資金力や労働力などが求められる大規模な建設工事を、複数の企業で受注・施工する事業組織体のことです。

JVは法人格ではなく、民法上では組合に分類されます。受注した工事の完了、または受注できない場合に組織は解散されます。また、JVは新規事業を複数の会社が出資する、合弁企業という意味合いもあります。

JVを組む理由は、単体では受注できないような大規模な建設工事の参加資格が得られることです。建設工事は高層ビルや橋、トンネル、ダムなどさまざまな種類があり、企業ごとに得意分野が異なります。大規模かつ高い技術が必要な工事を、各企業がもつ得意分野の技術力を集結することで工事を受注、施工するのがJVの目的の1つです。

また、JVで他社と共同で施工することで、自社の技術を高めることにもつながります。

 

■JV(共同企業体)の方式と区分について

JVは、「活用目的」で3つの区分、さらに「施工方式」で2つの区分にわかれています。そこで、活用目的におけるJVの区分、施工方式の区分の概要を見ていきましょう。

 

◇活用目的によるJVの区分

活用目的とは、どのような目的でJVを結成するかという意味です。活用目的のJVである、2つの種類を解説します。

 

・特定建設工事共同企業体(特定JV)

高度な技術が求められる大規模な建設工事で、技術力を集結して安定的な施工を実施する際に結成されるのが特定建設工事共同企業体(以下特定JV)です。特定JVは、高層ビル、橋やトンネルなど、各分野に優れた企業同士が結成する、JVの基本形といえます。

なお、JVによる施工が必要な工事ごとに特定JVを結成し、工事が完成すると解散するのが基本的な流れです。土木工事では3社程度でJVを結成しますが、高層ビルではさらに多くの企業が集結します。特定JVでは出資比率が最も高い企業が、工事の受注と施工を主導します。

 

・経常建設共同企業体(経常JV)

経常JVとは、中小の建設業者が継続的に協業関係を維持し、実施体制の安定確保を目的とするJVのことです。工事ごとに結成し、完成後に解散する特定JVとは異なり、協業関係を維持することから「通年型」とも呼ばれます。

経常JVは入札参加資格審査の申請の際、経常JVとして結成し、一定期間を有資格業者と登録されます。なお、経常JVで中小企業では受注が難しい工事の機械が得られるため、中小企業の育成、振興に貢献します。

 

・地域維持型建設共同企業体(地域維持型JV)

地域維持型JVとは、地域の社会資本を維持管理するため、地域の建設業者が継続的に協業関係を確保するものです。地域維持型JVは社会資本を維持管理する工事で結成するため、ほかのJVと異なり、「新たな工事を受注しない」という特徴があります。

地域維持型JVが必要な工事は、インフラ整備の修繕や補修、パトロール、災害対応、除雪、除草、河川や道路の巡回などが挙げられます。地域の地形・形質に精通しており、かつ迅速に対応できる、地域の企業が参加することが一般的です。

なお、経常JVと同様の経緯で地域維持型JVを結成し、一定期間は有資格業者と登録されます。

 

◇施工方式によるJVの区分

施工方式のJVは、甲型・乙型に区分されます。JVを施工方式で区分する理由は、債務不履行があった場合に責任の所在を明確にするためです。そこで、甲型JV、乙型JVの概要を見ていきましょう。

 

・共同施工方式(甲型JV)

甲型JVとは、前もって決めた出資比率に応じ、資金や人員、機械などを拠出し、各構成員が共同で施工する方式です。出資するものは資金のほかに、人員や機材など、財産的価値のあるものすべてが対象です。

甲型JVとして合同で損益計算を行ない、利益や損失金は企業ごとの出資比率に応じて分配されます。なお、JVの代表者は、出資比率が最も高い企業が務めます。

 

・分担施工方式(乙型JV)

乙型JVとは、1つの工事を複数箇所に分割し、参加する各企業が分担して施工する方式です。分担方法は工区で分割する方法と、専門分野で分ける方法があります。

工事箇所ごとに分担するため、経費と利益は企業ごとに計上します。甲型JVで実施する合同計算を乙型JVでは実施しないため、利益のある構成員と損失のある構成員が発生します。

また、ほかの構成員が施工した工事でも、お互いが発注者に対して連帯責任を負うことも特徴の1つです。

 

■建設業でJVを結成するメリットとは?

建設業でJVを結成することで、以下のメリットが得られます。

 

◇資金力の拡大

JVを組織する目的にあるように、共同出資で資金力が拡大します。大規模な建設工事も受注できるうえに、信用が上がることで金融機関からの融資が受けやすくなります。大規模な建設工事を受注した実績が残るため、企業の将来設計でプラスになるでしょう。

 

◇リスクの軽減

単体で工事を受注すると全責任を負うことが一般的で、地震や台風などの対策が必要です。JVにより複数の企業で工事を受注すると、資金面や経営不振、天災といったリスク負担が軽減されます。

 

◇技術の強化

JVに参加すると専門分野のみで工事を受注できるため、技術力の強化につながります。特に、大規模なプロジェクトは高度な技術が要求されるうえに、技法の開発が必要になるケースもあります。

複数の企業で施工するには効率化が必要のため、工夫を重ねることで企業と個人のスキル向上が期待できます。

 

◇施工が円滑になる

JVは複数の企業が施工するため、責任企業の統括部門がプロジェクトを推進します。単体での受注と比べ、進捗状況の報告といった作業が増えることも事実です。しかし、共同体制を構築することで働きやすい環境が整い、工区や割り当てられた施工に集中できるメリットがあります。

また、業者同士の連携や協力で施工の確実性が向上するため、短い工期で困難と思える工事でも完成させることが可能です。

 

■まとめ

JV(ジョイントベンチャー)は、資金力や労働力が求められる、大規模工事を複数の企業で受注、施工する共同企業体のことです。資金力や労働力が不足する中小企業にとって、JVは大規模工事を受注でき、実績を積む貴重な機会です。

なお、中小企業の育成と振興、地域の社会資本整備という活用目的のJV、出資比率に応じた甲型JV、施工箇所と会計を分担する乙型JVという施工方式の区分が存在します。

JVは資金力と労働力の強化だけでなく、あらゆるリスクの軽減、技術の強化、円滑な施工など、結成する多くのメリットがあります。

 

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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