「施工管理の仕事は男性でも厳しいって聞いたことがある!」「建設業界に施工管理の仕事はなくてはならないと聞くけれど、実際にはどんな仕事をしているの?」
実はあまり浸透していない施工管理の仕事。与えられた役割は何か、施工管理という仕事があることで建設現場での作業が円滑になることを説明してまいります。一日の仕事の流れなどもまとめてまいります。
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■施工管理の仕事内容と役割
施工管理はひとつの建設現場において作られた建設計画に基づいて、計画通りに工事を進捗させるための管理業務を指しています。とある一軒の建築物を完成させるためには、基礎工事から足場組立、配管工事、鳶、鉄筋工事、コンクリート工事、大工など様々な工程を経て完成へ近づけていきます。
これらの仕事には、それぞれのスペシャリスト(職人)が携わります。基礎工事が終わらないと足場組立てができない、これらが完全に終了しないと柱の組み立てや鉄筋工事ができない…というように、すべての工程は並行して進めることができないというデメリットがあります。
そこで、施工管理の仕事は、それぞれのスケジュールに合わせて工程を担う職人を確保し、その工程で円滑に進むよう、「強度が確保できて、短期間で固まるコンクリート」や「寒冷地でも扱いやすい建築資材」を準備するといった、管理の仕事を行う役割を担います。
また、自社の建設会社に在籍する職人や建築機材だけでは仕事を賄えない場合があります。他社や自営の職人さんに依頼をする、必要な建機をレンタルするなとの要領で確保する仕事もあります。他社から応援に来てくれた職人とは一期一会ということもあるため、スムーズに進むよう統括する役割も担うのです。
現場の安全を管理するといった役割もあり、それらをマルチにこなすのが施工管理技術者の仕事となります。いわば、建設現場の統括・運営担当といったところでしょうか。
■施工管理の仕事「4大管理」について
ここでは、先に記した内容についてもう少し詳しくまとめて参ります。施工管理の仕事は「4大管理」と呼ばれる、施工管理技術者が担うべき4つの管理業務があります。
◇①工程管理
あらかじめ決定された建設物の完成目標に合わせてスケジュールを組む仕事を行います。例えば、基礎工事をするために職人5人確保すれば5日で終わるかというように、工事規模とすり合わせを行うほか、使用するコンクリートは何日で次の工程へ進めるまで硬化するかということも併せて検討します。
また、重機・建機の確保や次の工程で来てもらう職人さんの調整など、先を見据えた仕事も並行して行います。工程表と照らし合わせながら、予定通り工事が進むよう逐次チェックをしながら仕事をします。工程通り進まない場合はどこでリカバリができるか、どういったところで時間を要しているのかなどの検討を行う仕事です。もちろん、職人さんの健康や安全を優先させたうえでの工程設定を行うことも使命のひとつです。
◇②品質管理
全国に点在する集合住宅ブランドの施工不良による、建築基準法違反事案は多くの人の記憶に新しいことでしょう。建設会社は、居住者や利用者が安全に過ごせるよう、質の高い建物を建設する使命を担っています。
法律による基準を満たした建設物を建てるために、鉄骨やボルトの組み合わせによる強度や、密度などの計算を行い、規定を満たしているかを管理することが「品質管理」の仕事です。
また、寒冷地や湿気が高い地域、海沿いの地域など、使用する建材によって将来腐食やカビなどの被害が出るかもしれませんし、建設の段階で「気温が低すぎて接着剤の硬化に時間がかかり使用できない」といった工程遅れの原因になる要素が含まれることも考えられます。
最適な条件下で資材が使えるよう、工程や仕様をチェックしながら環境を整える仕事を担います。
◇③原価管理
ここで、なくてはならないのが「原価管理」です。工事をする作業員には「人件費」が発生します。また、材料も購入しなければいけませんし、重機のレンタルや維持費のほか、資材加工に伴う費用も発生します。
質が良い建物を作ることが第一優先ですが、費用が掛かりすぎては問題です。特に公共事業などでは、あらかじめ工事の施工価格が決まっていますので、その予算に応じた工事をしなければいけないのです。
原価計算の段階で予算オーバーするようであれば、資材の見直しや工法の見直しを図らなければいけませんし、工期の変更などの対応も求められます。
◇④安全管理
やはり、無事故作業が一番の基本です。重篤な労災事故などがあった場合は、公共工事の指名停止、営業停止など重い行政処分が待ち受けています。
労働衛生に関する法律などに基づいた、休憩所の設置のほか、作業に危険を伴う場所での手すり、安全柵といった設置を行うことも業務の一つです。消火設備を設けるほか、溶接など火器を用いる場所での保安点検なども行います。
また、事前の危険予知を行い事故に気を付けるよう啓発を行うほか、作業員が作業中に「ヒヤリとしたこと、危ないなとハッと気づいたこと(ヒヤリハット)」の事例を求め、それをもとに業務改善を行っていくことも使命です。
■施工管理の1日の流れ
ある建設会社で施工管理を担う中堅社員をモデルケースに一日の流れをまとめました。
◇始業~午前中
スケジュールによって、朝は建設現場へ直行のケースや、会社へ出社する場合があります。会社で下準備を済ませてから現場に行くなどその時に応じて行動します。現場などでは始業時間が決まっていますが、施工管理担当者は早めに赴き環境整備の仕事や点検作業を行います。
朝礼では、工程表に準じたスケジュールの確認と安全面で気を付けるべき点などを周知します。また、作業担当者と個別に打ち合わせを行う場合もあります。
内勤の場合は、書類や図面の作成や積算など事務処理が中心です。
◇午後
午後からは、事務所での事務処理や、現場の現状確認、発注者(クライアント)への進捗説明や、業者との打ち合わせを行う場合があります。
◇終業~
建設現場での作業は夕刻~日没前には終了します。現場作業時は終礼を行い事務所へ戻り報告書等の作成を行います。また、作業員から拾い上げた「ヒヤリハット」の分析を行うほか、改善に向けた対応策を講じることもあります。
残業に近い時間帯に入ると、明日の工程の確認や指示書作成、工期遅れが見込まれるときのリカバリ等もこの時間に行う場合が見られます。
このところでは働き方改革が浸透しつつあり、一人ですべての施工管理を担うことは少なくなっています。大きなプロジェクトになるほど分担制で仕事を担いますので、煩雑さや残業の多さは緩和されてきました。もちろん、竣工時には自分自身のキャリアが一つ積み重ねられますし、建設にかかわれた喜びを味わうことができます。
■施工管理の平均年収と労働時間
施工管理の業務についている人の平均年収や、残業時間などが気になるところです。
残業時間はひと月当たりの平均「36時間」程度。週に数回、1日2~3時間程度の残業を行う人が多くみられます。休日は、年間100日程度。週休2日・祝日休などが徹底されていることがわかります。
平均的な年収ですが、全体的な年収で平均450万円程度。年収300万~400万円未満の人が中心的です。年齢別の平均年収を見ると、次のような結果がわかりました。
・20代前半では340万円、後半になると440万円台
・30代は500万円
・40代以上は550万円
勤務先の大小はもちろん、保有資格や勤務年数、地位などによっても年収は大きく変わります。
■まとめ
施工管理の仕事は、多岐にわたり建設現場全体を見渡す現場監督として活躍します。仕事の内容も多く、残業に追われることも多々ありますが、竣工時には大きな喜びが得られますし、会社での働き方改革も進み、仕事を一人で背負い込むことは少なくなっています。やりがいがある施工管理の仕事、皆さんも再確認してみませんか?