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寒中コンクリートの養生方法!コンクリートが固まらない理由とは?【冬期配合】

更新:2025-10-24

寒中コンクリートの養生方法!コンクリートが固まらない理由とは?【冬期配合】

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冬季に行うコンクリート工事は、低温環境によって硬化が遅れたり、凍結によるひび割れが発生したりと、多くのリスクを抱えています。

特に駐車場や基礎など重要な構造物では、養生を適切に行わなければ十分な強度が得られず、耐久性に大きな影響を及ぼす可能性があります。そこで重要になるのが「寒中コンクリートの養生」です。

この記事では、寒中コンクリートの定義や養生の目的、具体的な方法、失敗事例とその対策までをわかりやすく解説します。

施工管理者に求められる注意点や実践的な管理ポイントもまとめました。適切な養生管理によって、冬季でも安全に品質を担保・向上できるでしょう。

出典:耐 寒 剤 を 用 い る 寒中コンクリート施工指針|国土交通省
出典:耐寒剤運用マニュアル(案)|国土交通省

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寒中コンクリートとは?

寒中コンクリートとは、気象条件が厳しく日平均気温が4℃以下、または最低気温が概ね0℃を下回ると予想される期間に打設されるコンクリートを指します。

冬季の施工では、コンクリート中の水分が凍結しやすく、初期強度の発現が遅れることから、ひび割れや耐久性低下などの不具合が生じやすくなります。

そのため、通常の施工以上に温度管理と養生が重要となります。

特に打設直後の硬化前は凍結の影響を強く受けるため、適切なシート養生や保温シートの使用によって温度を安定させることが不可欠です。

寒中コンクリートの養生は、品質確保や安全性向上だけでなく、工期の遅延防止や維持管理コスト削減にも直結するため、施工管理者が必ず押さえておくべき知識といえるでしょう。

出典:寒中コンクリート工事・暑中コンクリート工事の対応が必要な期間を詳細に示すメッシュマップ|東北大学 大学院工学研究科
出典:耐寒剤運用マニュアル|国土交通省
出典:第3章 寒中コンクリート|国土交通省

寒中コンクリートにおける養生の目的

ここでは、寒中コンクリートを安全かつ高品質に仕上げるために欠かせない「養生」の役割について解説します。

凍結防止や初期強度の確保、さらに耐久性や耐凍害性を維持するうえで、養生は冬季施工の成否を左右する重要な工程ですので理解を深めておきましょう。

凍結防止

寒中コンクリート最大のリスクは、硬化前に水分が凍結してしまうことです。

打設直後に凍結すると、水和反応が妨げられ強度が著しく低下し、施工不良ややり直しの原因となります。

そのため養生では、シートや保温材を用いてコンクリート温度を一定以上に保つことが重要です。

特に打設後24時間は凍結の影響を最も受けやすいため、外気温が氷点下に近い場合には入念な温度管理が求められます。

初期強度の確保

冬季施工では、コンクリートの水和反応が低温により遅れ、初期強度の発現に時間がかかります。

養生を適切に行えば、所要の初期強度を早期に確保でき、型枠の脱型や次工程への移行を安全に進められます。

初期強度が不足したまま工事を進めると、ひび割れや構造耐力不足につながるため、積算温度や供試体強度を確認しながら養生期間を調整することが施工管理者の重要な役割です。

耐久性・耐凍害性の確保

コンクリートは初期の養生状態によって将来の耐久性が大きく左右されます。

十分な強度が得られる前に凍結や乾燥を繰り返すと、内部に微細なひび割れが生じ、耐凍害性や水密性が低下します。

これを防ぐため、寒中コンクリートでは所定の圧縮強度が得られるまで養生を継続し、凍結融解作用に耐えられる状態にする必要があります。

適切な養生は、長期的に劣化しにくい構造物を実現するための基本であり、ライフサイクルコスト削減にも直結します。

寒中コンクリートの養生方法

作業現場

ここでは、寒中コンクリートを打設した際に行う代表的な養生方法を解説します。

シート養生や型枠利用、給熱養生など、現場条件に応じて適切に選ぶことが品質確保につながります。

シート養生

冬季の寒中コンクリートでは、もっとも一般的な方法が養生シートを用いた養生です。

セメントの水和熱を逃がさず、打設直後から表面温度を一定に保つことで凍結を防ぎます。

ただし外気温が氷点下に近い場合、養生シートだけでは保温性が不足するケースもあります。

その際には保温シートを使うことで、より安定した養生が可能です。

型枠を利用した養生

養生効果は型枠の種類によっても変わります。木製型枠は熱伝導率が低いため、内部温度を保ちやすく保温効果が高いのが特徴です。

一方、鋼製型枠は強度が高い反面、外気温の影響を受けやすく、熱を逃がしやすいため寒中施工には不利になることがあります。

寒中コンクリートでは、型枠を養生の一部と捉え、材質の特性を踏まえて選択することが重要です。

木製型枠と鋼製型枠の比較

項目 木製型枠 鋼製型枠
保温性 高い 低い
強度・耐久性 中程度 高い
寒中施工適性 良好 注意が必要

※補足:冬期配合(耐寒剤の使用)

寒中コンクリートでは、養生と並んで「配合計画」も重要です。低温下では水和反応が遅れるため、セメント量の調整や耐寒剤の使用によって初期強度を確保する工夫が行われます。

耐寒剤は凍結点を下げ、氷点下付近でも硬化を進めやすくしますが、使用条件を誤ると長期強度や耐久性に影響する可能性があるため注意が必要です。

代表的な冬期配合の工夫例は以下の通りです。

工夫内容 目的・注意点
セメント量の調整 低温下でも水和反応熱を確保するため、セメント量を増やす場合がある。
耐寒剤の使用 水の凍結点を下げ、初期強度の発現を助ける。ただし使用量は規定を順守する必要がある。
水セメント比の低減 水量を減らし、凍結による空隙発生を抑える。

このように、材料段階での工夫と施工時の養生を組み合わせることで、寒中コンクリートの品質を安定させることができます。

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養生期間と温度管理の目安

ここでは、寒中コンクリートが十分な強度を発現するまでに必要な養生期間と、施工中の温度管理の基準を解説します。

外気温や積算温度に応じた管理が施工の成功を左右します。

打設後24時間は5℃を維持

寒中コンクリート施工指針では、打設後24時間はコンクリート温度を5℃以上に保つことが推奨されています。

 

耐寒剤を用いた場合のコンクリート温度は、打込み後24時間まで5℃に保つのが望ましい。コンク リート表面の最も厳しいところでも、コンクリートが凍結温度以下にならないようにしなければな らない。打込み後、厳しい外気温が予想される場合には、ブルーシートより保温性の高いシート(気 泡緩衝材など)を用いるのがよい。

出典: 耐寒剤を用いる寒中コンクリートの施工指針|国土交通省

 

硬化初期に凍結すると強度や耐久性に大きな影響を及ぼすため、養生シートや保温シートで表面を覆い、外気の影響を受けにくくすることが重要です。

特に氷点下が予想される現場では、保温性の高い資材を用いたり、温度計測を行いながら確実に管理する必要があります。

外気温と必要な養生日数の関係

外気温が低いほど強度発現は遅れ、養生に必要な日数は長くなります。以下は外気温ごとのコンクリート養生日数の目安です。

外気温 歩行可能までの目安 車両乗入れまでの目安 設計基準強度(Fc28)に達するまでの目安日数*
10℃以上 2日程度 5〜7日程度 約28日
0〜5℃ 3〜4日程度 7〜10日程度 約30〜35日
-5℃前後 5日程度 10〜14日程度 40日以上

※あくまで目安であり、実際は積算温度や供試体試験によって判断する

このように、同じ施工でも気温によって完成までのスケジュールが大きく変わるため、計画段階で考慮することが大切です。

出典:耐寒剤運用マニュアル|国土交通省

積算温度と強度発現の目安

コンクリートの強度は、日数と温度を掛け合わせた「積算温度」によって管理されます。

一般的に、圧縮強度10N/mm²は積算温度約90℃・日、20N/mm²は約270℃・日で到達するとされます。

現場では外気温や部材の温度を継続的に記録し、積算温度が基準を満たしているかを確認することで、養生打ち切りや型枠脱型のタイミングを適切に判断できます。

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養生時の注意点!施工管理者が押さえるべきポイント

ここでは、寒中コンクリート養生の際に施工管理者が特に注意すべきポイントを解説します。

氷雪の付着や養生シートの管理、急激な温度変化によるリスク、そして養生打切りの判断基準を理解しておくことが重要です。

氷雪付着の除去

打設面や骨材に氷雪が残った状態でコンクリートを施工すると、密着不良や強度低下の原因になります。

特に基礎や駐車場舗装などの外構工事では、下地に霜や氷があると後に浮きやひび割れを招くリスクが高まります。

施工前に表面の氷雪を完全に除去し、場合によっては加熱処理で下地温度を確保することが求められます。

シート隙間からの熱漏れ防止

保温シートや養生シートを用いた養生では、隙間から熱が逃げると内部温度が低下し、凍結リスクが高まります。

特に風の強い現場ではめくれや浮きを防ぐため、重石や固定具を用いて密着させる工夫が必要です。

隙間対策を徹底することで、養生効果を安定的に維持できます。

急激な冷却によるひび割れリスク

日中は加温し、夜間に急激に冷えると、コンクリート内部に温度差が生じ、ひび割れが発生しやすくなります。

特に厚みのある部材では温度勾配が大きくなるため、急激な冷却を避ける管理が重要です。

養生期間中は外気温の変化を予測し、必要に応じて加温や保温を段階的に調整します。

養生打切りの判断(強度試験・温度記録)

養生をいつ終了するかは施工管理者の大きな判断ポイントです。

外気温や施工日数だけでなく、現場での供試体強度試験や温度記録をもとに総合的に判断する必要があります。

十分な強度発現が確認できない状態で打切ると、耐久性低下や早期劣化につながるため、科学的根拠に基づいた判断が不可欠です。

失敗事例と対策!寒中コンクリートの養生

ここでは、寒中コンクリート養生において実際に起こりやすい失敗事例と、それを防ぐための施工管理上の対策を解説します。

強度不足やひび割れといった不具合は、適切な養生計画と管理を徹底することで未然に防止できます。

【失敗事例①】養生不足による強度不足

冬季施工で多い失敗が、養生期間を短縮したことによる強度不足です。

十分に硬化が進む前に荷重をかけると、圧縮強度が設計値に達せず、耐久性の低下や早期劣化を招きます。

特に駐車場や基礎など荷重が大きい部位では致命的です。

対策としては、積算温度を基準に養生期間を判断し、強度試験による確認を徹底することが有効です。

【失敗事例②】凍結融解でのひび割れ

打設直後に気温が氷点下に下がり、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すと、ひび割れや空隙が発生します。

この現象は耐久性を大きく損なう要因となり、外構工事や舗装では特に注意が必要です。

防止策として、凍結防止のための保温シート養生や加熱養生を適切に組み合わせ、凍結が予想される期間は徹底した温度管理を行うことが求められます。

【対策】適切なシート選定・施工管理で防止可能

失敗の多くは養生方法や資材選定の誤りに起因します。

ブルーシートのみで対応すると保温性が不十分な場合があり、状況に応じて保温シートや断熱資材を使い分けることが重要です。

また、シートの隙間管理や固定不足も温度低下の原因となります。

施工管理者は現場条件を的確に把握し、資材・施工方法を柔軟に選定することで失敗を未然に防止できます。

まとめ

寒中コンクリートは、低温下での施工に伴う凍結や強度発現の遅れといったリスクを適切な養生管理で防ぐことが重要です。

特に打設後24時間の温度管理や、外気温に応じた養生日数の確保は施工品質を左右します。

積算温度を把握しながら計画的に管理することで、安全性と耐久性の高い構造物を実現できるでしょう。

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この記事を書いた人

ベスキャリ建設 編集部

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