「大手のゼネコンって仕事がきついって本当?」「理系じゃないと無理?」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
とくに、大手ゼネコンへの転職や就職を希望している方にとって、施工管理職の仕事内容やキャリアパス、初任給などの情報は非常に重要だといえます。
本記事では、ゼネコンの基本的な役割から、大手5社の特徴、施工管理の業務内容、文系・理系それぞれの働き方、そして年収事情まで詳しく解説します。
併せて、ゼネコン業界で成功するための就職・転職のコツもまとめているので是非チェックしてみてくださいね。
ゼネコン業界の年収・働き方データ
マイナビ転職に掲載された「建設・土木」分野の求人情報によると、ゼネコンを含む同業界のモデル年収平均は661万円です。これは業種別ランキングでも上位に位置し、高水準といえます。
年間休日120日以上の企業は52.43%、転勤なしの求人は76.71%と、ワークライフバランスを重視した働き方も増加傾向です。
一方で「原則定時退社」は20.11%と低水準ながら、業務効率化の進展により改善が期待されています。
リモートワークや未経験歓迎の求人も一定数存在し、多様な人材がチャレンジできる環境が整いつつあることがわかります。
出典:職種別・業種別・年齢別モデル年収平均ランキング 2024年 業種別(1~50位)
ゼネコンが「激務」と言われる理由
ゼネコンの仕事には「激務」という印象を持つ人も多いですが、その背景には厳しい工期管理や多忙な現場対応が挙げられます。
工事の遅延リスクや繁忙期の休暇取得困難など、負担が集中する場面もあるのが現実です。
しかし近年は、働き方改革の推進により現場のデジタル化やロボット導入が進み、業務効率が大きく向上しています。
2024年からは時間外労働の上限規制も始まり、長時間労働の是正も強化されています。
テレワークの導入やクラウド活用も増え、柔軟な働き方が実現しつつあり、「激務」のイメージは“過去のもの”になってきているといえるでしょう。
出典:建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省
文系・理系どちらも活躍できる!大手ゼネコンでの多様なキャリア
大手ゼネコンでは、理系だけでなく文系出身者も幅広く活躍しています。
理系は施工管理・設計・研究開発などの技術職が中心ですが、文系でも営業・調達・総務・人事・経理といった事務系職種で力を発揮できるでしょう。
さらに近年は、コミュニケーション能力やマネジメント力を重視する傾向が強まり、文系出身でも施工管理職に挑戦する人が増えています。
研修制度が整っている企業も多いため、未経験でも安心してキャリアを築ける環境があります。建設業界に興味があれば、文理の枠を超えて自分に合った道を見つけることができるでしょう。
大手ゼネコンの初任給は30万円に!若手確保で賃上げが加速
「日経クロステック」によると、大手ゼネコン5社(大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店)は2025年4月入社の初任給を、大卒30万円・院卒32万円に引き上げると発表しました。
これは前年より2万円の増額で、4年連続の賃上げとなります。
建設業界では若手人材の確保を目的に、他社も追随する動きが広がっています。西松建設や東洋建設も同様に大卒初任給を30万円に引き上げており、今後もこの流れが継続する可能性があります。
ゼネコン業界は待遇面でも魅力を増しており、志望者にとっては好機と言えるでしょう。
一般的な施工管理の仕事内容・施工管理の現状
まずは、大手・中小企業問わず建設会社において行われる施工管理の仕事について確認します。ここでは、施工管理の仕事内容や施工管理の業務に就く方法などについて説明していきます。
そもそも建設業界における「施工管理」とはどんな仕事なのか?
施工管理の仕事は、ある工事現場において決められた工期の中で、どのように進めていくか工程(スケジュール)を構築するほか、図面を見ながら採用すべき資材の検討や発注、作業員や重機の確保などを行う仕事です。
どんな工事においても工事のクオリティを保ちつつ、自社の利益を追求する必要があります。施工管理の仕事では、資材コストや作業員へ支払うための工賃を把握し、どのようにしたら利益が得られる仕事になるのかも追求しなければいけません。また、労災事故などが起こらないよう安全にも気配りをしなければいけません。
これらの仕事を「四大管理」といい、施工管理職の柱となっています。
工事現場で必要な「工程管理・品質管理・原価管理・安全管理」の4つを網羅するセクションを位置づけることができます。
施工管理の仕事に就くにはどうしたらいい?
施工管理の仕事は、建設会社に入社すれば就くことができます。工学部系出身者が優遇される傾向にありますが、2者や文系大学卒業者でも施工管理に携わることができます。CADの知識や建設業経理検定などのスキルは、仕事に就いてから身に着けることで仕事の幅が広がります。
また、監理技術者や専任技術者と呼ばれるいわゆる「現場監督」になるためには、建設業の業種における1級施工管理技術者の国家資格が必要になります。実務経験が必要になるため、2から受験資格を得るのは並大抵のものではありませんが、取得することで大きな工事の統括として動けるようになるほか、営業所などの拠点長として栄転できるメリットも生まれます。
女性の施工管理も増えてきている
平成26(2014)年に「けんせつ小町」という愛称が生まれ、建設業で働く女性を応援する動きが出来上がりました。これまで「ガテン系」といった言葉に代表される通り、建設業は男性メインの仕事といわれていましたが、女性の力を取り入れることで働きやすさの向上につながるとされています。
女性で重機オペレーターという人も見られますが、多くは施工管理の仕事でプロジェクトを担っています。特に施工管理の仕事は子育て中の時短勤務者などでもできる仕事です。こういった理由からも建設工事に携わる女性が増えています。
大手ゼネコンの施工管理の仕事内容【メリット・デメリット】
大型の工事を中心に元請けとなる業者のことを「ゼネコン(General Contractor)」といいます。1社だけでは作業員などを回すことが難しいため、協力業者に一部工期を発注するほか、ゼネコン数社で共同企業体(JV)を立ち上げて大きな工事を引き受けることもあります。
大手ゼネコンで行う施工管理の仕事についてみていきましょう。
建設業界における大手ゼネコンが携わる範囲・担う役割
建設業界における大手ゼネコンは、大きな公共工事や企業が発注する大規模建設工事の統括といった立場にあります。元請企業として建築デザインや監理などを引き受け、工期やブロックごとに区切った建設工事を協力業者に割り振ります。協力業者に対しても大手ゼネコンに在籍する監理技術者がチェックを行い、工程通りに進んでいるかを確認していきます。また、現場の声を吸い上げて働きやすさや安全管理に役立てる仕事も担います。
一つのプロジェクトに対するリーダー企業としてまとめ上げる仕事というとわかりやすいかもしれません。
大手ゼネコンでの施工管理の仕事とは?
大手ゼネコンの行う施工管理の仕事は、工事の全体的な統括です。協力けの作業員が安心して働けるようすべてを準備する業務を担います。また、それぞれの協力業者が得意とする現場や工程を把握し、適材適所に配置するなどの業務も大手ゼネコンで働く施工管理職の仕事です。
何らかの事情で、工期が遅れそうになった場合のリカバリやリスケジュール作業のほか、重機の手配なども行いスムーズに作業ができるよう細やかにチェックを行います。
一つのプロジェクトを担う作業員は、いろいろな風土がある複数の会社の集まりです。いくつもの会社の集まりを一つにまとめ上げる作業ともいえるため、大手ゼネコンの施工管理職は多方面で奔走する仕事ともいわれるのです。
大手ゼネコンの施工管理の長所と短所
大手ゼネコンの施工管理の仕事には長所と短所があります。大企業のプラント工事やマンション建設、橋梁や鉄道、コンベンションホールというような官公庁が発注する大規模建設工事というような特殊な業務に携われる長所があります。
施工管理職としても経験値を上げることができるうえ、何らかの形で勤務先の名称がその建設物に残されるため、自分の自信にもつなげることができます。
また、最新工法や新しい素材を採用した資材などを使用できる機会が高くなります。常にアンテナを高く張り巡らせ、どのような形で建設工事に採用できるかといった思案も必要になりますが、パイオニアとして最新の工法を確立させる使命を担うことは、建設業界で働く人にとってとても名誉なことだといえます。
一方、出張や転勤が多いことは短所ととらえることができます。大手ゼネコンは全国に営業拠点を持っているため、施工管理などの技術者は出張や転勤が多くなります。工事現場への出張の場合、プロジェクトが終わるまで長期的な出張になる可能性も否めません。また、企業の規模によっては、海外転勤などの可能性もあります。もちろん、出張や転勤は昇進も視野に入るため、一概に短所と言い切ることはできません。
ゼネコン以外での施工管理の仕事、大手ゼネコンと比べて何が違う?
地域の道路工事や小規模な建設工事が中心の「町の工務店」といった位置づけの業者や、新築住宅の建設を中心に行うハウスビルダーなども建設業者の一つです。規模を問わず建設工事には施工管理の業務が必要になります。こういったゼネコン以外の建設業者が行う施工管理の仕事は、大手ゼネコンが行う業務との違いはあるのでしょうか。
工事の規模を問わず、施工管理の業務は大手ゼネコンと同様「四大管理」が柱となります。ただ、積算などの業務と現場監督の業務を一人の施工管理技術者が一手に引き受けていることが多いことが挙げられます。また、協力業者に出さず1社の作業で完結できる工事がほとんどです。
工期が短いものが中心で、会社の規模にもよりますが1ヶ月に5~20件の工事を受注するようなペースが一般的です。
まとめ
ゼネコンの施工管理の仕事は、街づくりの最前線で活躍するやりがいのある職種です。大手ゼネコンでは、充実した研修制度や待遇が整っており、理系・文系問わず活躍のチャンスがあります。
ただし、仕事内容にはハードさもあるため、自分に合った働き方や職場環境を見極めることが大切です。本記事を参考に、ゼネコン業界の理解を深め、自分に合ったキャリアの第一歩を踏み出しましょう。
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