「CADオペレーターは年収が低いの?」「年収の中央値はどれくらい?」「正社員や派遣など、雇用形態によって年収にどれほど差が出るの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、正社員・派遣社員・アルバイト・パートなど雇用形態別に、CADオペレーターの年収の実態を詳しく解説します。あわせて、収入を上げるためのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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CADオペレーターの年収が低いと言われる理由
「CADオペレーターの年収が低い」と言われるのには、主に3つの理由があります。CADオペレーターの年収が低いと言われる背景を理解することで、収入アップのために取るべき具体的な対策が明確になるのでぜひチェックしてみてください。
未経験者の受け入れが多いため
CADオペレーターの年収が低いと言われる背景には、未経験者の受け入れが多いことが挙げられます。建設業界では慢性的な人手不足が続いており、多くの企業が即戦力に限らず、未経験者の採用にも積極的な姿勢を見せています。
そのため、特別な資格がなくても就業しやすく、初任給も比較的低く設定される傾向があります。結果として、未経験者の割合が多くなることで、CADオペレーター全体の平均年収が低く見える一因となっているのです。
とはいえ、経験を積みながらスキルを磨いていけば、収入アップは十分に見込めます。とくに、専門性の高い分野で実績を重ねたり、高度なCADソフトを使いこなせるようになったりすると、高収入を得られる可能性があります。
経験や技術によって差が生じるため
CADオペレーターの年収は、経験年数や技術レベルに大きく左右されます。初心者で基本的な操作しか対応できない場合は、補助的な業務が中心となり、比較的低い給与水準からのスタートとなるのが一般的です。
一方で、実務経験を積み、設計業務や高度な3Dモデリングが可能になると、専門性が高まるため、それに伴って収入アップも期待できるでしょう。
また、担当する分野によっても収入に差が生じる点は見逃せません。建築・土木・機械設計など、より高度な知識やスキルを求められる領域では、高年収を狙える可能性があります。反対に、図面修正や補助業務にとどまる場合は、昇給のチャンスが限られてしまうケースもあるでしょう。
非正規雇用が多いため
厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト」によると、正社員のCADオペレーターの割合は59.6%と過半数を占めている一方で、パートタイマーが13.5%、派遣社員は21.2%、フリーランス(自営含む)が21.2%となっており、非正規雇用の割合が高いことが特徴です。その影響で、CADオペレーターの年収は低いと言われることもあります。
一般的に、派遣社員の時給は正社員よりも高めに設定されることが多いものの、ボーナスや昇給が少ないため、年収ベースでは正社員より低くなりやすい傾向があります。
CADオペレーターのなかには、高収入を得ている方もいますが、パートやアルバイトとして働く人が多いため、業界全体の平均年収が低く見られるのかもしれません。特に、経験が浅い場合や業務の幅が限られている場合は、収入が伸びにくいこともあります。
CADオペレーターの平均年収は?中央値も解説
CADオペレーターの平均年収は、働き方によって違いがあります。ここでは、正社員、派遣社員、アルバイト・パート、在宅フリーランスの5つの就業形態別に平均年収と中央値について解説します。
正社員の場合
CADオペレーターとして正社員で働く場合、設計会社や建設会社、機械メーカーなど、ものづくりをおこなう企業に雇用されるケースが一般的です。正社員のCADオペレーターにおける、年齢別の平均年収を表にまとめました。(※建築の製図CADオペレーターの場合)
年代 | 平均年収 |
---|---|
20〜24歳 | 328.39万円 |
25〜29歳 |
377.34万円 |
30〜34歳 | 434.25万円 |
35〜39歳 | 443.97万円 |
40〜44歳 |
487.64万円 |
45〜49歳 |
489.52万円 |
50〜54歳 | 521.82万円 |
55〜59歳 | 526.56万円 |
60〜64歳 | 443.5万円 |
65〜69歳 | 390.37万円 |
日本の全業種・全年齢の平均年収と比較するため、国税庁調査のデータをもとにした一覧は次の通りです。
※引用元:国税庁ホームページ
上図にある全業種の20代平均年収を見ると、20~24歳では「269万円」、25~29歳では「358万円」となっています。一方で、CADオペレーターの平均年収は、20~24歳が「328.39万円」、25~29歳が「377.34万円」です。この比較から、CADオペレーターは同年代の全業種平均よりも約20万円高い水準にあることがわかります。
しかし、全職種の平均給与は年齢とともに30代で400万円台、40代で500万円台と増えていくのに対して、CADオペレーターの年収は、40代でも400万円台に留まります。全業種のデータは、特定の業種が平均を大きく引き上げている可能性も考えられますが、全体的に見てもCADオペレーターの年収は、伸び悩む傾向にあるといえそうです。
ただし、CADオペレーターは専門性の高い仕事であり、個人の能力によって年収に違いが出ます。経験が浅く製図に時間がかかる人よりも、早く確実に仕事ができるオペレーターは評価が上がり、年収に反映されます。年収500万円以上というケースも存在するので、働きながら実力をつけることが重要といえるでしょう。
派遣社員の場合
CADオペレーターの派遣社員の時給は、1,600円〜1,800円が相場です。そのため、1日8時間、週5日勤務(月20日)とした場合の年収は、約307万円〜346万円が一般的といえます。
派遣社員のCADオペレーターは柔軟な働き方ができるため、家庭や育児と両立しながら働きたい人や、ワークライフバランスを重視する人に適しています。勉強時間も確保しやすく、資格取得を目指している人にも最適な働き方です。
一方で、契約は短期間で更新されることが多く、プロジェクト終了後の雇用が不安定になることはデメリットと言えます。キャリアアップの機会が限られるため、昇進や昇給のチャンスは少なく、長期的なキャリア形成には向きません。
正社員に比べて福利厚生も充実していないため、将来的なキャリアプランを慎重に考える必要があるでしょう。
アルバイト・パートの場合
アルバイトやパートのCADオペレーターの平均時給は、1,000円〜1,300円です。働く時間によって年収が大きく異なります。フルタイム勤務と時短勤務の場合の平均年収は、下表の通りです。
働き方 | 就労時間 | 平均年収 |
---|---|---|
フルタイム勤務 |
1日8時間×週5日 |
年収190万~250万円 |
時短勤務 |
1日4時間×週3日 |
年収58万~75万円 |
アルバイトやパートとしてCADオペレーターの仕事をする場合、勤務時間や日数を柔軟に調整できるのが大きな魅力です。例えば、週に2~3日勤務や1日数時間だけのシフトも可能で、育児や副業との両立が図れる働き方ができます。
業務内容は、図面のトレースや修正作業など、比較的シンプルな作業が中心です。未経験者でも始めやすく、実務を通じてCADスキルを身につけられます。ライフスタイルに合わせて働きたい人にとっては、有力な選択肢と言えるでしょう。
在宅フリーランスの場合
CADオペレーターは、PCやCADソフトなどを揃えれば在宅フリーランスとしても働ける職種です。厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、CADオペレーターの就業形態の21.1%は、自営・フリーランスです。つまり、およそ5人に1人は、自営・フリーランスということになります。
フリーランスのCADオペレーターの年収は、稼働時間や報酬額にも左右されますが、案件によっては月額単価で50万円程度になることもあります。
なお、CADオペレーターだけではありませんが、厚生労働省の「フリーランス白書2024」のデータでは、全職種のフリーランスの年収中央値は「200〜400万円未満」で、全体の25.2%を占める割合です。実力次第では、高収入を目指せる働き方といえるでしょう。
CADオペレーターの業務内容
CADオペレーターは、CADソフトを使用して設計士やデザイナーの指示に基づき、図面の作成・修正・調整を行う職種です。建築や土木などの建設業界を中心に需要が高く、建築事務所やゼネコン、サブコン、建設コンサルタント、建材メーカーなどで活躍しています。
また、建築分野に限らず、機械設備や自動車、電子部品、家電、家具、アパレルなど、幅広い分野の製造・設計現場でも雇用されています。精度の高い図面を作成するため、設計意図を正確に理解し、細部まで丁寧に仕上げるスキルを求められる職種です。
CADオペレーターが年収を上げるコツ
CADオペレーターが年収を上げるコツには、以下の4つがあります。
実務経験を積む
CADオペレーターが年収を上げるには、実務経験を積むことが重要です。CADの資格を取得しても、実務経験がなければ未経験とみなされることが多いため、現場での経験を積んでいくことが大切です。
逆に、資格がなくても実務経験が豊富であれば即戦力として評価され、年収アップにつながる可能性もあります。また、経験を積んでいくと、対応できるCADの種類が増え、幅広い案件を任されることもあるでしょう。
特に、大型プロジェクトや専門性の高い案件を手がけて実績ができると、収入アップも期待できます。まずは、基本的なスキルで対応可能な業務から始めて着実に経験を積んでいき、積極的に新しい業務にもチャレンジしていく姿勢が大切です。
使用可能なCADソフトの幅を広げる
CADオペレーターが年収を上げるには、使用可能なCADソフトの幅を広げることが効果的です。CADソフトは建築、機械、インテリアなど業種によって使う種類が異なるため、複数のソフトを使いこなせる人材は市場価値が高まります。
特に近年、需要が高まっているのがBIM(Building Information Modeling)ソフトウェアです。BIMは3Dモデルを活用して建築プロジェクトを効率的に進められるため、多くの企業で導入が進んでいます。
BIMを習得することで、設計や建築業界での競争力が上がり、転職する際にも有利に働くでしょう。積極的に新しいソフトや最新技術を学び、スキルを磨き続けていくことが大切です。
専門分野の関連資格を取得する
CADの操作スキルを証明する資格は、未経験から就職するときには有利に働きますが、給与アップには直結しにくい傾向があります。年収を上げるためには、CADスキルに加えて専門的な知識を証明できる資格を取得するのも方法の1つです。
例えば、建築士やインテリアコーディネーターなどの資格は、設計やデザインの現場で働きたい方には取得をおすすめします。
資格を保有していることで業務の幅が広がり、知識や技術を評価されて年収アップにつながることもあります。CADスキルを基盤に、関連する専門資格の取得を目指すことが、長期的なキャリアアップには有効な戦略です。
キャリアアップできる職場に転職する
CADオペレーターが年収を上げるためには、キャリアアップできる職場へ転職する方法もあります。企業によっては、業務内容が単調な作業に限られ、スキルアップや昇給の機会が少ない場合もあるでしょう。
一方で、設計士やデザイナーと連携しながら仕事を進めていく企業や、大規模プロジェクトに携わる機会のある職場であれば、実務を通じて専門的な知識を身に着けられます。
さらに、BIMソフトの導入や研修制度を実施している企業であれば、スキルや実績を積み上げていくことができます。年収アップを目指すなら、業務の幅を広げられ、スキルを評価してくれる職場へ転職しましょう。
まとめ:CADオペレーターで年収アップを狙うなら転職も視野に入れよう
CADオペレーターの年収は、雇用形態や経験、スキルによって大きく異なります。正社員や派遣社員、在宅フリーランスなど、それぞれに特徴があり、年収にも差があります。年収を上げるためには、「実務経験を積む」「扱えるCADソフトの幅を広げる」「専門資格を取得する」など、スキルアップをしていくことも欠かせません。
また、キャリアアップが期待できる職場への転職も有効な選択肢です。建設業界でCADオペレーターとしてのキャリアを考えているなら、まずは自分の強みを見つけ、必要なスキル習得に取り組みましょう。建設系のCADオペレーターに興味がある方は、ぜひベスキャリ建設のCADオペレーター案件特集をチェックしてみてください。
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